中学受験塾選び、イマドキの親はここを見る 「合格実績」だけで、親たちは満足していない
学習塾業界が慌ただしい。昨年8月の、通信教育「Z会」を運営する増進会出版社(静岡県)による、業界最大手・栄光ホールディングスの買収劇は世間を驚かせた。少子化のいま、受験生の減少は現実問題としてたちはだかり、どこも生き残りに必死だ。
ただ、悲観することばかりではない。1人の子どもに注がれる教育費は増加傾向にある。教育熱心な親たちは今、どんな目線で学習塾を選んでいるのか。オリコン日本顧客満足度調査が先ごろ発表した、中学受験塾に関する調査結果を紐解きたい。
調査対象は首都圏、東海、近畿の中学受験向け集団塾(89社)と、首都圏にある中学受験向け個別指導塾(43社)の計132社。アンケート対象者は27歳以上の女性、29歳以上の男性で、中学受験塾・予備校に通年通学している現役小学生、または通年通学したことのある中学生の保護者1万1850人だ。
彼らに授業内容、受験結果、受講料などに関する9項目31問の満足度を聞き、それぞれ100点満点で評価してもらった。多くのユーザーが重視する項目で評価が高い場合は、ポイントに反映する仕組みになっている(調査の詳細はこちら)。
集団と個別、微妙に差が出た「重視項目」
まず調査データから読み取れるのは、集団塾と個別塾とは評価の重点が異なる点だ。集団塾に通わせる親が何より重視するのは「成績向上」(22%、首都圏の場合)という目に見える成果だが、マンツーマンや少人数で授業を行う個別塾は「成績向上」(19%)よりも「講師の質」(24%)に対する期待が強い。
ただ、2番目に重視する項目は集団塾も個別塾も共通しており、交通の便や塾周辺環境といった「通いやすさ・治安」が約20%を占めている。この傾向は、直近4年間を通じて変化していない。