ショッピングモールには理想の街の姿がある

東浩紀×大山顕「実は社会的弱者に優しい」

大山:日本の場合は、ショッピングモールの多くは工場の跡地に建てられます。これがなぜモールになるのかというと、土地を持っている企業はなるべく効率的に売却したい。細分化するとムダが出てくるので、そのまま買ってくれるところがいい。そうなると、ショッピングモールか大型マンションになる。その結果、行政が規則どおりにつくった区画道路よりも、モールの内部に「理想的」な街路が出来上がったりする。

:そもそも、危険な自動車をすべて駐車場に停めて、歩行者だけの遊歩空間をつくるモールは、コンパクトシティの理念をもっとも正確に実現している。逆に言えば、コンパクトシティというのは、実は市街地全体をモールにするという発想なんですよね。

大山:ショッピングモールと商店街が対立的に捉えられるようになったのはとても不幸な図式だと思います。ラゾーナ川崎プラザのような駅前型のモールが果たす役割を考えると、従来の図式的な対立は当てはまらない。

:その点は、僕も大山さんも見解が一致しているところだと思います。

ショッピングモーライゼーション

大山:速水健朗さんがよく言う「ショッピングモーライゼーション」という概念がありますよね。すべてがモールになっていく。まさにそれを体現しているのがここです。

BACCは2008年に開館した、タイ最大規模のアートセンター。「アートの交差点」をコンセプトにした現代的な内装が特徴的(撮影:大山顕)

パッと見ではモールに見えますが、実はBACC(Bangkok Art and Culture Centre)という名前の美術館です。これ、モールの吹き抜けにそっくりじゃないですか。つまりアートの空間と消費の空間が、構造的には区別できなくなっている。

:それに関連して言うと、僕はSFの『スター・トレック』シリーズが好きなんですが、1990年代のシリーズ(ディープ・スペース・ナイン)になると、宇宙ステーションのなかがモールになってしまうんですね。宇宙ステーションも外装に意味がないので、内装だけが重要で気候も空調で完全に管理される。モール性気候です。

大山:それは面白い。

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