ショッピングモールには理想の街の姿がある 東浩紀×大山顕「実は社会的弱者に優しい」
東:しかし、これ、どのくらいリテラシーの高い層をターゲットに設定したのでしょうね。これの面白さがわかるのは日本人だけでしょう。普通のタイ人は、単に日本というのはこういうところなのか、と誤解するだけでは。
大山:でも、単なるミスではないですよね、これ。わざとだと思います。僕がターミナル21で面白いと思ったのは、サンフランシスコも、ローマも、東京も、都市としての動線は同じなんですよ。それをグラフィックのエレメントだけで表現している。これは建築をやっているひとにとっては衝撃的ではないでしょうか。都市のイメージとは構造ではなくグラフィックにすぎないと証明してしまっているんですから。
もう少し小ネタを紹介しましょう。モールのなかは擬木だらけなんですよね。外は熱帯なので植物は山ほど生えているけれど、人間にとって快適な空調を効かせた空間では擬木にならざるを得ない。モール共和国のなかはモール性気候で、生えている植物は擬木というわけです。
東:なるほど。
民間企業が歩行者空間を整備
大山:ここは、鉄道の駅とショッピングモールを結ぶペデストリアンデッキです。これのなにが面白いのかと言うと、バンコクの街中というのは街路整備ができていなくて、歩行者が歩けないのです。しかし、モールへのアプローチがつくられることで結果的に民間企業が歩行者空間を整備している。
東:重要な指摘ですね。日本でも道路は健常者の大人にとっては歩きやすいのだけれど、ベビーカーを押しているとてきめんに歩きにくい。子どもを育てているときに気づきました。ショッピングモールは、排除的と言われるけれど、実はそういう社会的弱者に優しい空間を実現している。
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