(第30回)2010年度新卒採用戦線を総括、2011年度の採用戦略のテーマを探る(前編)

(第30回)2010年度新卒採用戦線を総括、2011年度の採用戦略のテーマを探る(前編)

●学生が不況報道を実感した、プレエントリー後の採用中止メール

 採用環境が一変した今年の採用活動がピークを迎えていた2009年4月23日~5月11日に採用プロドットコムが企業の採用担当者に対して実施した調査では、プレエントリー数、説明会参加者数、そして面接人数といった採用フローの節目となる母集団形成項目のすべてにおいて、2010年度は「現時点で昨年より多い」が昨年同時期に比べて多くなっていた。
 背景としては、採用数が大幅に削減されるという報道等によって学生が"なるべく多くの企業に応募しよう"と考えた結果であることは容易に想像できるが、その根拠のひとつとして「プレエントリー後に生じた不安」に関するデータを挙げておきたいと思う。
図1:プレエントリー企業からの採用見送り通知
 そのデータとは「理系で49%、文系で65%の学生がプレエントリーをした企業から“採用見送り”の通知を受け取った」というアンケート結果だ(図1)。プレエントリーは就職ナビがオープンする10月1日から年内にピークを迎えているが、その頃、テレビの映像は派遣切りや雇い止めに抗議する労働者や、行き場を失って派遣村に集まった人たちの映像を連日のように映し出していた。コストカットは、例えばホンダのF1撤退のように企業イメージを象徴する活動をも聖域とはしなかった。雇用調整はソニーをはじめとする大手企業の正社員にも及んだ。
 ここ数年、就職活動は早期の一途をたどっており、新卒採用をする企業のなかには採用活動を見切り発車する企業も少なくない。好景気ならそれでも通用したが、時計が逆回転をするような経済危機では早期化によって活動を早めていた学生の心理をも逆回転させたことは否めない。多くの学生がプレエントリー後に受け取った採用中止メールにより、雇用不安のなかで就職活動をする自分自身を実感した瞬間だといえるのではないだろうか。

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