習近平が中東で狙う「シルクロード」づくり

新経済圏目指す中国は、米国よりも建設的

Crisisを意味する中国語「危機」は、「危険」と「機会」を意味する2つの漢字で成り立ち、昨今の中国の中東情勢への見方を象徴している。今や世界中の大半の人が、戦下の中東ではもはやビジネスチャンスは乏しいと見ている。しかし中国はそうではない。あくまで中東のエネルギー資源を活用し、経済成長を支援しようとしている。

「支配」ではなく「結合」

中国が外交戦略で掲げるのは、「一帯一路」構想だ。これは習主席が13年の就任以降、追求してきた世界情勢のリバランス(再均衡化)を目指す構想だ。米国は歴史的に、外交の軸足をある地域から別の地域へと移しながら、「支配」を続けてきた。中国は「支配」ではなく、あくまで「結合」を重視し、新たな経済圏づくりを狙っている。

実際、中国はアラブ諸国との戦略的提携を次々と図っている。すでに8カ国と提携関係に入っており、6カ国とは一帯一路構想を共に追求すべく協定への署名も済ませた。中国が主導するアジアインフラ投資銀行(AIIB)にはアラブ主要国がすでに参加。習主席は中東に550億ドルを融資すると発表したほか、16年内にも湾岸協力会議(GCC)との自由貿易協定(FTA)締結を目指すとしている。

習主席は1月にエジプトを訪問した際、「中国は中東で影響力拡大を目指さず、すべての関係国に一帯一路構想の友好の輪に参加するよう呼びかける」と述べた。同構想は中国から中東へと至る現代版「シルクロード」構想といえる。

この構想を完成させるには、何より中東情勢の安定化が不可欠だ。イスラム国など過激派組織の勢いをそぎ、治安を取り戻すには、支配地域住民の経済基盤こそが求められる。その根本的な点で、中国が提供できるものは多々ある。習主席はその決意を示しているのだ。

週刊東洋経済2月27日号

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