中国は「暴走北朝鮮」を抑える意思も力もない 影響力のなさは過去にも証明されている
2月7日、北朝鮮が長距離弾道ミサイルを「地球観測衛星の発射」と称して打ち上げた。1月6日の核実験に続く二つの国際的挑発ではっきりわかったことは、日本や米国、韓国がこれまで主張し、また期待もしてきた中国の北朝鮮に対する影響力が実質的になく、また今後も期待できないということを明確にしたといえる。
核実験と今回のミサイル打ち上げは、北朝鮮の金正恩政権にとって「先軍体制の継続」と「自国の科学技術重視政策の発展」という目的に沿ったものであり、他国から何を言われようとも必ず実行するものだった。そもそも中国が北朝鮮に対し効果的な影響力を持っていれば、過去4回の核実験と5回のミサイル発射はありえなかっただろう。
人工衛星の発射は既定路線
北朝鮮政治に詳しい慶應義塾大学の礒﨑敦仁准教授は、「金正恩体制が先軍政治の継承とともに、科学技術の重視を明確にしている以上、人工衛星の発射は既定路線」と指摘、国連安保理(安全保障理事会)を中心とした北朝鮮に対する国際的な制裁が強化されることも織り込み済みだったと説明する。
北朝鮮と長い国境を接し、貿易など北朝鮮の対外経済において独占とも言えるほどの比重を占める中国こそ、北朝鮮には「影響力を行使できるはずだ」と日米韓など関係国は考えてきた。中国もまた、2000年代に入ってからは北朝鮮の核問題を解決するための「6者協議」の議長国として、朝鮮半島の非核化と安定のために一定の努力を払ってきた。
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