沖縄・普天間基地問題、米国は妥協案も視野に最重要な同盟関係維持
来年は1960年に日米安全保障条約が改定されて50周年。沖縄は米国の世界戦略の要であり、前方展開部隊である海兵隊の遠征軍は三つしかないが、その一つが沖縄に駐留している。だが日米両国は、沖縄県宜野湾市にある普天間基地をめぐり厄介な対立に陥っている。妥協点を見いだせなければ、双方とも手痛い打撃を被り安全保障に悪影響を及ぼす。
95年、日米両政府は在日米軍の再編で合意した。それには海兵隊ヘリコプター部隊が本拠とする普天間基地の閉鎖も含まれる。両国政府は長い交渉の結果、2014年までに沖縄県名護市にあるキャンプシュワブ海兵隊基地の沿岸部に代替施設を建設するとの合意に達した。ところが、両国の政府関係者が施設建設促進を繰り返し表明しているにもかかわらず、進展はほとんどみられない。
一方、沖縄の当局者は日米両政府の示した解決策に満足していない。彼らは市民生活の脅威である騒音と事故を減らすため、日米協議を再開し代替施設を沿岸部でなく沖合に建設するよう求めている。しかし、日米の防衛当局はこの要求を拒み、合意は最終的なものと主張している。
この問題に進展がみられない理由は、実は、日米どちらの政府も、代替施設を建設する理論的根拠が乏しいことを自覚しているからだ。
すなわち海兵隊は、日本に駐留する兵力の大部分をグアムに移転しつつある。海兵隊は長年にわたり、朝鮮半島で戦争が起こった場合に備えて沖縄に駐留する必要があると主張してきた。しかし現在、北朝鮮の侵攻に対する戦略は、空と海からの反撃を主体とするものとなっている。
肝心なことは、グアム移転が日米の友好ムードの中で実施されることになるのか、不愉快な感情を引きずるようになるのかという点だ。