「儲からない」農業企業が絶対気づかない視点 今春から参入加速、頭を使わなきゃ勝てない

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マスコミなどでも企業が農業に参入する時は「これからの農業は新たな時代に突入した」とばかりに華々しく報じられることがありますが、その後パッとした話を聞きません。どの産業、どの業種でもいえることかもしれませんが、農業参入コンサルタントである筆者の実感からいわせてもらうと、農業に参入する企業の8割はうまくいきません。もうちょっと詳しく言えば全体の6割は鳴かず飛ばず、2割はもがき苦しんでいるようなイメージです。

筆者が支援するC社は4年前に農業を始めたのですが、社長も含め働き者ばかりを集め昼夜問わず農作業を行っていました。特徴は元農業経験者や力自慢のワーカーをたくさん集めたこと。しかし、一向に儲からず助けを求めてきました。

C社の関係者から話を聞くと、どうやら「農作業を頑張ればおカネが儲かる」という勘違いがあったようです。いまだに農業はくわを片手に畑や田んぼを耕していると思っている人はさすがにいないと思いますが、農業=力仕事と思っている人はかなり多いのではないでしょうか。

確かに農業には力仕事がまったくないワケでもないのですが、現在の農業はほとんどが機械化され、ご年配の方や女性でも簡単に操作できるようになっています。たとえば、現在のコメ農家は一度も田んぼに足を踏み入れず、一度もコメを触ることなくコメ作りができる時代なのです。

成功のカギは農業の現状を理解しているか

こうした農業の現状をちゃんと理解しているかどうかが、農業で成功できるかどうか、「儲かるか否か」の分かれ道です。農業に参入する企業の8割がうまくいっていませんが、逆に言えば2割は成功を収めています。

3年前に大分県で農業へ参入した「安心院オーガニックファーム」はまったくの素人3人で耕作放棄地の開墾から始めた会社ですが、すでに売上高1億円を目前にしています。この会社の大きな特徴は社長が農作業に入らないでも「つつがなくモノができ、つつがなくモノが売れる仕組み」を作り上げた点です。現在、従業員は30人を超え今後は海外での農業展開も視野に入れています。

たとえ先祖代々続く農家であっても「農業」というものを理解していない農家はまったく儲かっていません。儲かる農家や農業企業はいかに効率よく生産性を上げることができるか、ムリ・ムラ・ムダを省けるかなど人時生産性を追求し、生産工程や労力をデータ化し、分析解析を行い、改善を重ねています。

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