プリッツの「つれてって君」は天才だ!《それゆけ!カナモリさん》

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■顧客層広げる「つれてって君」

 パッケージの表面にミシン目が入っており、「つれてって君」の腕を引き出す構造になっている。腕をカバンの端に引っかければ、カバンの中で迷子になることなく、いつでも取り出せるような状態でプリッツをつれて歩くことができる。

 パッケージがどのような形状をしていても、「食べやすさと食感」というプリッツの中核たる価値には影響はない。実体としての価値である「味とそのバリエーション」にも関係ない。しかし、その形状であることが、製品の魅力をより増大させる「付随機能」として、「つれてって君」は抜群の効果を発揮しているといえるだろう。

 アタッシェケースであったり、ブリーフケースであったりする、ガッシリした男子のカバンではイマイチうまく「つれてって君」を引っかけることはできないが、女子のカバン、特にトートバッグタイプなら相性は抜群だろう。女子のハート、わしづかみだ。
 トートバッグは小さな子供の母親がよく利用する。バッグの端に引っかければ、カワイイと子供も喜び、取り出して与えるのも容易になる。

 GW中はさぞかし、売れたことだろう。このパッケージを考えた担当者は間違いなく天才だ。しかし、期間限定というのが少し、もったいないような気もする。

 ターゲットはママだけではない。独身女性や子育てが終わった女性も「つれてって君」を見れば、ついつれて歩きたくなって手に取り購入する。ただのパッケージのデザイン変更にとどまらず、ターゲット層を拡大するというパワーも発揮できるではないか。

 ロングセラー商品、定番商品も、ただ売り続けているのでは生き残ることはできない。
 どんな小さな改良でも、本来の価値とは関係ないと思っても、できることは何でもするべきなのだ。

 筆者から江崎グリコにお願い。定番商品として、これからも販売を続けてくれないだろうか……。もっとこの子を色々なところにつれていってあげたいのです。

《プロフィール》
金森努(かなもり・つとむ)
東洋大学経営法学科卒。大手コールセンターに入社。本当の「顧客の生の声」に触れ、マーケティング・コミュニケーションの世界に魅了されてこの道18年。コンサルティング事務所、大手広告代理店ダイレクトマーケティング関連会社を経て、2005年独立起業。青山学院大学経済学部非常勤講師としてベンチャー・マーケティング論も担当。
共著書「CS経営のための電話活用術」(誠文堂新光社)「思考停止企業」(ダイヤモンド社)。
「日経BizPlus」などのウェブサイト・「販促会議」など雑誌への連載、講演・各メディアへの出演多数。一貫してマーケティングにおける「顧客視点」の重要性を説く。
◆この記事は、「GLOBIS.JP」に2009年6月19日に掲載された記事を、東洋経済オンラインの読者向けに再構成したものです。
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