楽園企業の「ユルくてスゴい」人材育成法 「教育、管理、強制しない」と人は勝手に育つ

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実は山田氏は、本社新社屋の建設や地方工場の製造機材の購入といった、本来なら社長や工場長が決めるべきような仕事まで、どんどん現場の社員に任せ、決めさせていったのだ。

「社員が納得して働ける社屋や工場を建てるのが、いちばんいい」という理由からだが、それが山田式「3ナイ主義」の2番目「管理しない」主義につながる。

「管理しない」主義=「ダメなら元に戻せばええ」

仕事を積極的に任せるというのは、その仕事にまつわる権限と責任を部下に委ねること。上司はその分、管理する必要がなくなる。

山田氏が「管理しない」ことにこだわったのには2つ理由がある。

(1) 「自分の判断が正しければ『自信』になり、間違えれば『いい勉強』になる」

会社から大事な仕事を任されれば、社員は真剣に考えざるをえない。新工場が稼働すれば、今度はがっぽり稼がなくてはいけなくなる。

自分たちで決めて作った以上、会社のためにがんばって働いてくれるはず。それが山田氏の狙いだった。

「その結果、自分たちの判断が正しければ、大きな自信になる。反対に間違えれば、自分たちで決めた以上、誰のせいにもできない。反省もするだろうし、いい勉強になるわけや」

(2)「やってみてダメなら、元に戻せばええだけや」

以前、山田氏はこんな話もしていた。

「『管理しない』という考え方は、創業から45年以上たった今も、間違ってなかったと思う。やってみてダメなら、いったん元に戻せばええんやからな」

この「ダメなら元に戻せばいい」という考え方が、先の「若手ヒラ社員でも子会社の新社長になれる」という未来工業の社風を生み出しているのだ。そして、その社風が、今も未来工業の強さのひとつの源泉にもなっている。

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