山田式「接待」は2つの点で異なる
「今夜はウチが接待させてもらうから、くれぐれも変な気を起こさんようにな」
岐阜県の電気・資材設備メーカー「未来工業」創業者の山田昭男氏は生前、ある仕入先の部長にそう念押ししたという。しかも、まるで万引きした中学生を教えさとすかのような口調で、だ。
「接待なんかどこにでもある話じゃないか」と思ったアナタは甘い。山田式「接待」は2つの点で、「普通の接待」とは違っていた。
ひとつは、山田氏が接待していたのは、未来工業に原材料を供給してくれているメーカーだったこと。本来なら山田氏が接待を受けるはずの相手にもかかわらず、その仕入先を「逆接待」していたのだ。
その一方で、山田氏は本来接待するべき、自社製品を販売してくれる問屋さん(お得意様)への接待は一切行っていなかった。
「なぜ、自社にメリットのある得意先には接待せず、わざわざ必要のない仕入業者を接待するのですか?」
筆者があるときそう尋ねたところ、山田氏は愉快そうな顔でこう言い放った。
「同じ業界で、(仕入先に)そんなバカな接待をやっとるのはウチだけやから、地元の税務署もビックリしとったな。これも間違いなく日本初やぞ(笑)」
そうやって山田氏はお茶を濁していたが、いったい彼の真意はどこにあったのか?
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