「社員が日本一幸せ」ともいわれる未来工業(岐阜県にある電気・設備資材メーカー)。同社は、「残業なしの毎日5時退社」で有名だが、年間休日数が140日&有休最長40日と、休みの多さが「日本一」とも言われる。しかも驚くほどの高年収かつ、海外への豪華社員旅行などもあるために、「楽園企業」と呼ばれている。
同社創業者の山田昭男氏は一昨夏に他界したが、遺作となった『山田昭男の仕事も人生も面白くなる働き方バイブル』は今、注目を集めている。
今回のテーマは、山田氏が社内に普及させた「IT断食」。今どき、営業マンは携帯禁止・自分の机にパソコンなしと、徹底的に「アナログ」を追求しながらも、そのくせライバル他社を抑えて、業績は順調に上昇中。同社を長年取材してきたルポライターが、その謎に迫る。
98年からパソコン禁止。IT断食の「元祖」
サントリーなどの有名企業でも近年、「IT断食」が広がっている。勤務中にパソコンに触るのを一定時間あえて禁止し、職場の対話や、得意先への訪問活動をうながすのがその目的だ。
そのIT断食の「元祖」上場企業といえば、岐阜県にある電気・設備資材メーカーの未来工業。同社では、1998年から営業職にはひとり1台のパソコン利用を禁止している。自分のデスクに自分用のパソコンはない。もちろん、社用携帯電話の配布もない。
にもかかわらず、「パソコンがないと、今どき仕事にならない」はずの世の中で、当時も今も、売上高を順調に伸ばし続け、この30年間、赤字決算はなく、経常利益率の平均も10%を上回っている。
「IT断食」は創業者である故・山田昭男氏の方針だった。しかし、なぜ営業職にはひとり1台のパソコン利用を禁止するなど、そこまで徹底するのだろうか。
そして、未来工業の営業マンは、どんな仕事のやり方で、ITを駆使するライバル他社の営業マンを抑え、対前年度比の売り上げを伸ばし続けているのだろうか?
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