楽園企業の「ユルくてスゴい」人材育成法

「教育、管理、強制しない」と人は勝手に育つ

山田式「3ナイ主義」の1番目は「教育しない」主義だ。

先ほどの「若手ヒラ社員がいきなり子会社社長に就任」もそうだが、同社にはもっと驚くべきエピソードがある。それは25年前の、株式上場プロジェクトにまでさかのぼる。

「教育しない」主義=「誰でもやればできる」

山田氏は、なんと経理さえ未経験の20代社員7名に、本社の株式上場の手続きのすべてを任せたのだ。

しかも、その素人チームへの最初の指示はたった2つ。「日本経済新聞を読むことと、簿記の勉強を始めること」。かなり初歩的なハードルだが、彼には2つの根拠があった。

(1)「誰でもやればできる。無理なら、誰かが代わりにやればええ」

生前の山田氏の話だと、創業後に新入社員を初めて採用したときには、まだ製造部はなかったという。

「そこで、『おまえは、今日から製造部長兼工場長や』と伝えた。モノづくりなんて一度もやったことがないヤツでも、本人が努力したら、なんとかなったわけや」

そういう積み重ねで、今の未来工業はある。

「だから、株式上場も『誰でもやればできる』が基本。もし、できなければ、誰かが代わりにやればええ。とりたてて教育する必要なんてない」

仕事を任せたが、うまくできなかった社員には、上司がほかの仕事を探してやればいいというわけだ。

(2)「仕事を任せれば、人は自ら学び、他人より秀でるようになる」

また、創業期の経験から、山田氏にはもうひとつの持論があった。

「仕事を任せれば、人は自ら学び、他人より秀でるようになる」

実際に上場チームの最初の7名は、必要なアドバイスは証券会社からもらいながら、株式上場の手続きを3年間でやり切ったという。

しかし、山田氏の「任せる姿勢」はそれだけにとどまらない。本来なら社長や工場長が決めるべき仕事まで、どんどん現場の社員たちに任せていったのだ。

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