共産党は野党結集実現の「援軍」か「邪魔者」か 大連合ができれば与党にとって脅威に
安倍晋三首相が主導する「一強多弱」状況の中で、野党側がようやく勢力結集に動き始めた。昨年末、民主党と維新の党が国会内の統一会派づくりで合意。今夏の参議院選挙に向けて両党が合流する動きも強まっている。
さらに、注目されるのが日本共産党の動きだ。志位和夫委員長が参院選での野党共闘を訴え、共産党の公認候補を取り下げる用意があると表明。さらには非自民の「国民連合政府」をめざす考えも打ち出したのだ。
与野党からはさまざまな反応が出ている。共産党の組織票が民主党系の候補に流れれば選挙情勢は大きく変わるという見方がある半面、共産党が野党統一候補の陣営に加われば保守層は自民党候補に逃げるので、選挙ではマイナスという観測もある。そこで、共産党の動きが野党結集に「援軍」になるのか、「邪魔者」になるのか、考察してみたい。
共産党が野党共闘を決断した事情
共産党が野党共闘の方針を明確にしたのは昨年秋。集団的自衛権の行使容認に伴う安全保障関連法が自民、公明両党の多数によって強行採決された直後である。志位委員長は安保関連法の廃案に向けた野党勢力の結集を訴え、2016年夏の参院選では野党候補が一本化できれば、共産党の公認候補を降ろしても良いと踏み込んだ。さらには次の衆院選では与野党逆転を実現して「国民連合政府」を樹立しようと訴えた。
この過程では、生活の党の小沢一郎代表や亀井静香元運輸相らが志位氏に働きかけたと言われている。小沢氏らは、民主党と共産党が個別の候補者を擁立している限り参院選では勝利できない、などとして共産党の理解を訴えたという。さらに、亀井氏らは共産党が国会の開会式で天皇があいさつする際に欠席してきた従来の対応を改めることも要請し、共産党側が受け入れたと言われている。
共産党の判断の背景には何があるのか。表向きは安保関連法の廃案に向けた共闘態勢づくりだが、実際には共産党の内部事情もあるようだ。
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