共産党は野党結集実現の「援軍」か「邪魔者」か 大連合ができれば与党にとって脅威に
共産党は安倍政権発足後の2013年参院選や2014年衆院選で党勢を拡大してきた。安倍首相が進めた特定秘密保護法や安保関連法の制定などの動きに対する有権者の危機感が共産党への支持拡大につながったことは確かだ。しかし、単独で政権を狙うことはもちろん難しいうえ、民主党などとの連携で政権入りする展望は見えていない。一方で共産党員の高齢化も進み、機関紙の部数も伸び悩んでいる。
少し視野を広げてみよう。冷戦が崩壊し、共産主義運動の総本山とも言うべきソ連共産党はその役割を終えた。かつて「ユーロコミュニズム」とよばれた欧州の共産党も、イタリアでは社会民主主義政党に転換。フランスでも勢力が激減した。日本共産党はソ連共産党と対立し続けてきたが、それでも共産主義運動の衰退とは無縁ではいられない。
加えて、日本では衆院の選挙制度が中選挙区から小選挙区に変わり、新制度での衆院選は1996年から2014年まで計7回、重ねられた。共産党のような少数勢力にとって小選挙区制での生き残りは極めて厳しく、現実に共産党の当選者はほとんどが比例区で、小選挙区で勝ち残れるケースはほとんどない。共産党は原則として全選挙区で公認候補を擁立してきたが、ほとんどが落選。大半が票数不足で、供託金が没収されるケースとなっている。資金面でも共産党の財政を圧迫している。
こうした事情から、民主党の中堅議員は「共産党には、このまま孤立していくよりも反自民ブロックに溶け込んで、いずれは政権の一角を占めたいという狙いがある」と指摘する。的を射ている指摘だと思う。
野党共闘が実現したら大きな威力に
では、共産党が候補擁立を見送ったらどうなるか。
2014年12月の衆院選を見てみよう。例えば、東京18区。得票は以下の通りだ。
▽土屋正忠氏(自民)106143
▽菅 直人氏(民主) 89877
▽結城 亮氏(共産) 35699
この結果、菅元首相が選挙区では敗れ、比例区で復活当選した。仮に共産党が候補者擁立を見送り民主党候補を支援したら、菅氏の得票は12万票を超えて、自民党候補を大きく上回るのである。
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