共産党は野党結集実現の「援軍」か「邪魔者」か 大連合ができれば与党にとって脅威に

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衆院の全295選挙区の投票結果を精査してみると、東京18区のように民主党候補と共産党候補の得票を合計して自民、公明両党の候補を上回る選挙区は40カ所を超えることが判明した。さらに、民主、維新、共産の票を合わせて自民、公明両党候補を上回るのは60カ所以上となる。これがまさに、野党協力の「威力」である。

今夏の参院選では、鳥取と島根、徳島と高知が合区され、選挙区が45となった。そのうち1人を選ぶ「1人区」は32。ここで野党共闘が実現すれば、自民、公明両党にとっては大変な脅威となる。

試される岡田代表の判断

ただ、民主党内には共産党との協力には強い抵抗感がある。支援組織の連合内にも、労働組合運動で共産党系労組と対立してきた経験から「共産党アレルギー」を持つ幹部も少なくない。民主党や連合内の調整をどう進めるか。岡田克也代表にとっては頭の痛い問題だ。

1月4日に召集された通常国会は、甘利明・前経済再生相が「政治とカネ」をめぐるスキャンダルで辞任に追い込まれ、波乱のスタートとなっている。今後、6月1日の会期末まで、予算案や安保関連法をめぐる審議が続き、さらにTPP(環太平洋経済連携協定)の条約などが議論される予定だ。その後に控える参院選では、経済や安全保障など安倍政治の評価が最大の焦点となる。

その選挙で民主党を中心とする野党側が、共産党を含めた幅広い戦線を構築できるかどうか。まさに、共産党を「援軍」として取り込めるのか、それとも「邪魔者」として排除するのか。最終的には岡田代表の判断が試されることになる。

星 浩 政治ジャーナリスト

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ほし ひろし / Hiroshi Hoshi

1955年生まれ。東京大学教養学部卒業。朝日新聞社入社。ワシントン特派員、政治部デスクを経て政治担当編集委員、東京大学特任教授、朝日新聞オピニオン編集長・論説主幹代理。2013年4月から朝日新聞特別編集委員。2016年3月からフリー。同年3月28日からTBS系の報道番組「NEWS23」のメインキャスター・コメンテーターを務める。著書多数。『官房長官 側近の政治学』(朝日選書、2014年)、『絶対に知っておくべき日本と日本人の10大問題』(三笠書房、2011年)、『安倍政権の日本』(朝日新書、2006年)など。

 

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