日本人はビジネスでの「音」の力を知らない 「音の参謀」が明かす耳から顧客を掴む方法

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身の回りに耳を傾けてみると、あらゆる音に囲まれていることがわかります(写真:wavebreakmedia / PIXTA)
「音」は、私たちの潜在意識に働きかけ、気分・嗜好・行動・選択に大きな影響を及ぼす。ならば、ビジネスに「音」を活用しない手はない。
ディズニー、AT&T、サウスウエスト航空などの「サウンド・マーケティング戦略」をコンサルティングし、『なぜ、あの「音」を聞くと買いたくなるのか』を上梓した筆者が、ビジネスと「音」の関係を解説する。

聞こえる音に耳を澄ましてみよう

ディズニーやヴァージン、メルセデス、AT&T、サウスウエスト航空、コカ-コーラなどの「サウンド・マーケティング戦略」をコンサルティングした世界的第一人者による初めての書籍『なぜ、あの「音」を聞くと買いたくなるのか』、ついに邦訳。

手始めに、ちょっとした練習をしてみよう。これをすれば身の回りの音に自分がこれまでいかに無関心だったかがよくわかる。場所はどこでもいい。まず目を閉じて、聞こえてくる音に耳を澄ましてほしい。それから風を思い浮かべよう。すぐに風が吹く音が聞こえただろか? 次に耳鳴りを想像してみてほしい。すぐに聞こえただろうか?

ではもう一度目を閉じて。今度は2分間目を閉じたまま、どんな小さな音でもいいから全部拾ってみてほしい。最初の数秒で一番大きな音をキャッチするはずだ。たとえば、隣の部屋から漏れてくるテレビの音、近くで閉まるドアの音──。それが前景音だ。そうした音を意識したまま、もう少し先に進もう。しばらくすると、ハイウェイを走る車の音や外で遊ぶ子どもたちの声が聞こえてくるかもしれない。それが背景音。中景音はその真ん中あたりの音だ。

長い時間をかけるほど、いろんな音に意識が向くようになる。超能力を使っているわけではない。初めて耳にする音でもない。実は人間の聴覚は、こうした音の振動を常に察知している。意識して聞くことに慣れていないだけだ。ヨガや瞑想をしている人は音を聞き分けることに慣れているかもしれない。

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