高騰する学費で破産?大学授業料が払えない 奨学金なしに大学に行けない世帯が半数以上

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国は給付型の奨学金を創設しておらず、機構の奨学金は返済が必要な貸与型で、有利子が多い。12年度末の延滞者は33万人で、機構は債権回収業者による督促や信用情報機関への登録などで回収を強化。返還訴訟にまで発展したケースは12年度で6193件と、04年度の100倍を超えた。

卒業時負債500万円

私立理系の大学から国立の大学院に進んだ会社員女性(26)は、大学2年のときに自営業の両親からの仕送りが途絶えた。年の近い兄がおり、それぞれ一人暮らしをして通学していた。

安倍首相のようなセレブな家系の出身者しか、大学には行けなくなるかもしれない。教育に公的な支出をしてこなかったツケだ(立体イラスト/kucci、撮影/写真部・大嶋千尋)

「もう限界」

と音を上げた両親に、月7万円の家賃だけは何とか払ってもらい、週5日6時間ずつ、まかない付きのレストランでアルバイト。週1日は事務のバイトもして生活費を稼いだ。無利子の奨学金に加え、企業による給付型の奨学金も受給できた。大学院生になると授業料免除も受けられたが、バイトどころではなくなり、1万円を超える専門書はあきらめた。

返済が必要な奨学金は、約500万円。返済年数は30年間だ。

「毎月、粛々と返しています」

大学を卒業しても、まずは自分の教育費を精算しなければならず、次世代に教育費をかけるどころか、育てられない、産めない、ともなりかねない。1億総活躍の前に、「1億総教育費破産」をどう食い止めるのか。

(編集部・小林明子)

※AERA 2016年1月18日号

 

 

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