地方を滅ぼす「視察病」という深刻な病気 地方を視察する無駄な「ヒマ人」3つのタイプ

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このような暇な人々は半ば永遠に視察を繰り返すわけですが、それによって時間や労力など、各地の膨大な現場のリソース(資源)を消耗します。そのため、現場側の対策が不可欠になります。

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私は高校時代に関わっていた東京・早稲田商店会の時代から視察見学は、有料にしています。表敬訪問については明確な目的を、情報交換では期待する情報とこちらに提供してもらえる情報を、お聞きするという設定、流れ(フロー)にしています。

これだけで相当数の無駄な申請がなくなります。つまりは、目的は特になく、単に来るだけという人々が断念するからです。

ただし、この場合、多くは「相手は誰でも良い」ので、頑張っている別の人などにその視察オファーが行ってしまうことがあり、心苦しいのですが、やはりヒマ人のオファーは安易に受けてはいけません。

「ゴリ押し」を不可能にして「現場の消耗」を防げ

さらに、視察見学については、最近ではインターネットでの申し込みシステムを採用し、受付業務などの手間を可能な限り削減し、無駄な値下げ交渉や無理な変更などについて「ゴリ押し」が不可能な体制にしています。

人の担当者をつけると電話口で「俺はあいつと知り合いだからタダにしろ!」、とか、恫喝まがいの交渉をされることもあります。そのようなコストを可能な限りゼロにするためにも行うべきです。また、逆に有料なのですから、案内して欲しい人などもオプションで選べて(もちろんフィーは加算)、見積もりがその場で出るようにしています。

こうすることで現場の担当者の「工数」は最小限にとどまり、精神的疲労も小さくなり、いいことばかりです。さらに、案内するコースを分けて、案内人を分散させて一部の人の現場リソースだけが削がれないように設定しています。このように、可能な限りの効率化と事前の「露払い」によって、現場の消耗を防がなくてはなりません。

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