地方ではいまだに地方再生の切り札に「地元に工場を誘致したい」といったようなことを熱っぽく語る方も、一部には残っているようです。
しかし、それ以上に地方には売れ残った産業団地が山ほどあります。かつて、安くて若い大量の労働力が地方に残っている時代には優位性があった工場立地も、著しい高齢化を抱える現在の地方では、むしろ労働力確保のほうが問題となっており、工業的な視点で地方を語ると打つ手がなくなりつつあります。
「自治体の人口」で「商圏」を限ってはいけない
今、労働力不足は日本全体に見られる現象ですが、働き方改革の多くは「労働者側の生産性改善」という名を借りて、実際は単に「業務を早く終わらせろ」とか「残業ゼロを実現するから早く帰れ」、といって結局は自宅で持ち帰り作業をさせる結果になっている、といった話が散見されます。
本来の働き方改革は、経営者側が思い切って給与を引き上げたり、そもそも従来やってきた無駄な業務をやめる・減らすような改革だったりするわけですが、どうにも経営者側の痛みは先送りとなっているように思います。
本来の生産性改善は、業務を減らしたり、付加価値の高い仕事を増やして報酬を増やすところにあります。「そんなこと、簡単にできっこない!」という話になりがちですが、実は、地方都市においてはまったく違う価値観で、積極的に休みながら経営を成り立たせている取り組みが増加してきています。
よく、人口減少社会の議論をすると、自治体人口ばかりが取り上げられますが、地方都市はすでに都市間が多様なインフラで接続されたネットワーク型構造になっています。
そのため、人口規模が小さな自治体も、実は大都市と1時間以内で移動可能な高速道路などで接続されている場合も多く存在しています。その気になれば、十分に都市部から車で人が来れる利便性が確保されながらも、「山・川・海」といった自然環境に恵まれているところが多くあります。
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