世界で注目度が上がっている核融合発電。スタートアップが続々と立ち上がったことで、商用化への機運が高まっている。
「世界中でフュージョン(核融合)エネルギーの実用化機運がここ4、5年の間に非常に高まっている」。5月、都内のホテルで開催されたフュージョンエネルギー産業協議会(J-フュージョン)の設立記念会で、会長の小西哲之・京都フュージョニアリングCEOはそう強調した。
同会は核融合発電の産業化を目指し、内閣府主導で設立された一般社団法人だ。住友商事や三菱重工業といった大企業からスタートアップまで、核融合発電に携わる50団体が加入し、安全規制についての政策提言などに取り組む。
こうした業界団体が設立されたのは、冒頭の会長の発言どおり、潮目が変わってきたことが大きい。
「脱炭素の切り札」として期待
核融合発電は、原子核が融合する過程で生まれるエネルギーを発電に利用する。発電時に二酸化炭素を排出せず、高レベルの放射性廃棄物も出ないため、「脱炭素の切り札」として期待が高い。
核融合研究は1950年代から始まったが、実用化に至らないまま数十年が経過している。核融合発電は「実用化まであと50年といわれ続けて、50年」と揶揄されてきた。
一方で、J-フュージョンの副会長を務める住友商事の北島誠二執行役員は「核融合発電の実現まで50年、100年かかるといわれていたが、その時期はもっと手前になるのではないか」と語る。
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