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脱炭素の切り札になるか「核融合発電」期待と課題 スタートアップに資金流入、国内で関連団体発足

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脱炭素に貢献する次世代のエネルギーとして注目を集める「核融合発電」。核融合反応を発電に利用すれば、発電過程で二酸化炭素を排出せず、投入電力からそれを上回る電力を取り出すことが可能だと期待される。
2020年代に入って、アメリカの国立研究所が世界で初めて核融合によるエネルギーの純増を確認した。それを機に世界中で核融合関連のスタートアップが立ち上がり、巨額の資金調達に成功。国内でも2024年3月に、内閣府主導で核融合産業協議会が発足するなど、動きが活発化している。
そもそも核融合発電とはなにか、実現に向けた課題はなにか。国内にあるどんな技術が貢献できるのか。核融合発電の「いま」を解説する。
【配信スケジュール】5月8日(水)
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研究は1950年代から始まる

「夢のエネルギー」ともいわれる核融合発電。重水素と三重水素から成る燃料を炉の中で加熱しプラズマ状態にすることで核融合反応を起こすと莫大なエネルギーが発生する。

反応で発生するのはヘリウムと中性子。反応で得られるエネルギーを発電に利用することで、発電過程で二酸化炭素を排出せずに、投入電力を上回る電力を取り出すことが可能だ。

燃料となる物質が地球上に遍在する海水に含まれていること、高レベルの放射性廃棄物を発生させないこと、原子力発電の際の核分裂反応とは異なり、燃料や電気の供給が止まると反応も止まるため安全性が高い点が特徴として挙げられる。

発電を見据えた核融合研究は1950年代からはじまった。しかし、技術的な課題が多く実現には至っていない。核融合発電は、プラズマの維持や制御、発生したエネルギーの取り出しなど高度な技術を集結させることで可能になる。炉設計・部品製造の難しさはもちろんだが、それらを統合し稼働させるためにも高度な調整技術が求められる。

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