
アメリカの核融合発電ベンチャー「ブルーレーザーフュージョン」共同創業者の中村修二氏と太田裕朗氏 (撮影:梅谷修司)
レーザー核融合の実用化に向け、レーザーシステムや材料の開発を行うブルーレーザーフュージョン(BLF)。2014年にノーベル物理学賞を受賞した中村修二氏らが2022年11月に設立したアメリカのスタートアップで、ソフトバンクや伊藤忠商事、前澤ファンドなどから3750万ドル(約50億円)を調達している。
中村氏は「2030年ころに炉を建設する」と熱を込める。BLFの強みや商用化に向けた課題を中村氏と共同創業者の太田裕朗氏に聞いた。
学生の頃から核融合に興味があった
――レーザー核融合の会社を立ち上げたきっかけは何ですか。
中村:もともと学生の頃から核融合には興味があり、太田からも一緒にベンチャーを立ち上げようと前々から誘われていた。
BLFの立ち上げに向け本格的に動き出したのは、2022年5月に太田と日本で会食したときからだ。2015~16年頃に講演で訪れたローレンス・リバモア国立研究所でレーザー核融合の施設を見学した話を太田にしたところ、「核融合の会社やりましょうよ」と言われた。
最初は冗談かと思った。しかしその2週間後、再度太田から連絡をもらった。
太田とは過去にカリフォルニア大学サンタバーバラ校で共同研究の経験があるし、太田は学生時代に核融合プラズマの研究をしていた。そこで一緒にレーザー核融合について調べていくとレーザーの出力が足らないこと、連射ができないことが課題だとわかった。
どうすればこれを解決できるか、半年間毎日メールでアイデアを出し合って考えた。あれもダメこれもダメの繰り返しだったが、思いついたのがオプティカル・エンハンスメント・キャビティ(OEC)という方式だ。
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