「こんなにも、世の中がガラッと変わることがあるのか」──。日本自動車工業会が3月19日に開いた定例会見。会長を務める豊田章男・トヨタ自動車社長は、冒頭のあいさつの中で、新型コロナウイルス感染拡大による社会の混乱をそう表現した。
中国から始まった感染は、今やヨーロッパ全域やアメリカ、東南アジアなど全世界レベルにまで拡大。各地で経済活動が停止し、日本の製造業を代表する自動車産業への影響も一段と深刻なものになってきた。
ヨーロッパではイタリアやフランス、スペインなどで感染者が急増。人の移動が制限されたことを受け、3月16日以降、ドイツのフォルクスワーゲン(VW)グループなど主要な自動車メーカーが相次いで域内生産の一斉休止を発表した。
日本勢も追随し、トヨタはヨーロッパの主力生産拠点であるイギリスやフランスを含め、6カ国の工場の稼働を停止。ポルトガルを除き、再開時期は決まっていない。日産自動車やホンダ、スズキも完成車工場を休止した。
米自動車ビッグスリーも生産停止に
さらにアメリカでも感染の拡大を受け、ゼネラル・モーターズ(GM)、フォード・モーター、フィアット・クライスラー・オートモービルズ(FCA)の米自動車ビッグスリーが3月18日、3月末まで生産を停止すると発表した。全米自動車労働組合の要請を受けた措置で、北米にある全工場の操業を止めた。
日系自動車メーカーも操業休止の意向を表明し、トヨタは部品生産拠点も含め、アメリカ、カナダ、メキシコの全14工場の生産を休止(当初の休止期間は3月23日から4月3日)。ホンダも北米にある全12工場の操業を停止した。日産やマツダ、SUBARUも追随し、北米にある日系自動車メーカーの工場はすべて操業が止まった。