
「地方を活気づける原動力って、結局は『地元愛』」だと永谷さんは話します(写真:freeangle/PIXTA)
インバウンド特需に沸く日本列島。2024年は3686万人と、過去最高の訪日外国人数 を記録し、「これからの日本」を支える成長産業として観光業 に注目が集まっている。
だが一方で、オーバーツーリズムや観光業界の深刻な人手不足による機会損失など、さまざまな問題も露呈。「とりわけ、地方へのトリクルダウンはなかなか起きていない」 と危機感を抱く有識者もいる。
100を超える自治体支援を行い、50社以上の地方企業と関わりながら、「デジタル」の力で地方創生に取り組む『日本一わかりやすい地方創生の教科書』の著者・イマクリエ代表の鈴木信吾氏と、地方創生における観光「マーケティング」の専門家で『観光“未”立国~ニッポンの現状~』を上梓した立教大学客員教授・永谷亜矢子氏だ。
地方創生の最前線に立つ両者に「地方と観光」について語り合ってもらった(本記事は、全3回のうちの3回目)。
インバウンドにおいて「滋賀県の一番の強み」は…
鈴木信吾(以下、鈴木):「地方創生」でいえば、今後、地域間の連携も強まっていくと面白いと思います。たとえば、以前、兵庫県と岡山県の県境の市と町が組んだ東備西播定住自立圏で企業を誘致しようという取り組みがありました。
広域連携ですね。地域がつながれば、選択の幅も広がる。
永谷亜矢子(以下、永谷):おおむね賛成だけど、実際問題として「書類だけ交わして、あとは何もしない」とかも多いですからね……。
地理的な話で言うと、私は「変なプライドは捨てて、地の利があるなら生かす」ことが大切だと思います。
以前、滋賀で登壇させていただいた時に言われたのが、「琵琶湖があります、彦根城があります、雄琴温泉があります」。
日本人はその魅力を知っているかもしれないけど、外国人にはわからないじゃないですか。琵琶湖ほどの湖は他にないとしても、日本全国に海や川はありますし、お城も温泉も競合だらけ。
私は「インバウンドにおいて、滋賀県の一番の強みは、京都に近いことです!」と提言しました。
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