皮肉にも「学力が全国1位」だったから…「若者がどんどん地方から出ていく」本当の"原因"は何か

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日本一わかりやすい地方創生の教科書 観光“未”立国~ニッポンの現状~
「観光は日本の基幹産業となるか」という局面を迎えたが、「地方はまだまだ問題だらけ」という(写真:りびっつ/PIXTA)
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アフターコロナのインバウンド需要もうなぎ登りで、都心部では常に外国人観光客がごった返している
日本の「観光立国宣言」からはや二十余年。ついに「観光は日本の基幹産業となるか」という局面を迎えたが、「地方はまだまだ問題だらけ」と釘を打つ有識者がいる。
100を超える自治体支援を行い、50社以上の地方企業と関わりながら、「デジタル」の力で地方創生に取り組む日本一わかりやすい地方創生の教科書の著者・イマクリエ代表の鈴木信吾氏と、地方創生における観光「マーケティング」の専門家観光“未”立国~ニッポンの現状~を上梓した立教大学客員教授・永谷亜矢子氏だ。
地方創生の最前線に立つ両者に「地方と観光」について語り合ってもらった(本記事は、全3回のうちの1回目)。
【この対談の2回目】
「漁師と一緒に魚を獲って"漁師メシ"も食べられる?」地域でできる「ホンモノ体験」こそ"地方大復活"のカギだ

 

人手不足で客室を閉めているホテルもある

永谷亜矢子(以下、永谷):地方における、深刻な「人手不足問題」。これまで日本各地を飛び回ってきましたが、観光事業も例外ではありませんでした。

旅行先のホテルやレストラン、さらにはタクシーなどの二次交通まで、観光業の「担い手」がまるで足りていません。

これは、産業の分野においては、ことさら顕著なのでは?

鈴木信吾(以下、鈴木):まったくもってその通りで、地方は特に優秀な人材からいなくなっていきます

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たとえば石川県羽咋(はくい)市では、2015年の調査で20歳から29歳の約16%が市外に流出していたことが判明しました。その理由は、皮肉にも「学力が全国1位」だったから

若者たちは大学進学のため首都圏に出て、二度と戻ってくることはなかったそうです。この構造は、地方の地場産業にとって大きな痛手となっていますね。

永谷:観光業なんて、今めちゃくちゃ人が来ていて、これからもっと来ることが予測できる成長産業なのに、人が足りなくて「部屋はあるのにリネンを替える人員がいない」という理由で客室を閉めているホテルもあるほどです。

「稼ぐチャンス」をみすみす逃してしまっているとも言えます。

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