
人手不足で客室を閉めているホテルもある
永谷亜矢子(以下、永谷):地方における、深刻な「人手不足問題」。これまで日本各地を飛び回ってきましたが、観光事業も例外ではありませんでした。
旅行先のホテルやレストラン、さらにはタクシーなどの二次交通まで、観光業の「担い手」がまるで足りていません。
これは、産業の分野においては、ことさら顕著なのでは?
鈴木信吾(以下、鈴木):まったくもってその通りで、地方は特に優秀な人材からいなくなっていきます。
たとえば石川県羽咋(はくい)市では、2015年の調査で20歳から29歳の約16%が市外に流出していたことが判明しました。その理由は、皮肉にも「学力が全国1位」だったから。
若者たちは大学進学のため首都圏に出て、二度と戻ってくることはなかったそうです。この構造は、地方の地場産業にとって大きな痛手となっていますね。
永谷:観光業なんて、今めちゃくちゃ人が来ていて、これからもっと来ることが予測できる成長産業なのに、人が足りなくて「部屋はあるのにリネンを替える人員がいない」という理由で客室を閉めているホテルもあるほどです。
「稼ぐチャンス」をみすみす逃してしまっているとも言えます。