トランプ政権の大学攻撃の本質と大学の矜持(中)政権に大幅譲歩した学長代行は辞任、コロンビア大学は完全降伏

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2024年4月、コロンビア大学でパレスチナ支持の学生たちが学内施設を占拠してイスラエルに抗議した。トランプ政権は最初の標的に同大学を選んだ(写真: Yuki Iwamura/Bloomberg)
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多くの大学がトランプ政権の攻撃に苦慮する中、コロンビア大学は政府の要求を丸呑みする形で助成金の凍結を回避した。他方、ハーバード大学は政府の要求をすべて拒否し、徹底抗戦の構えを見せている。両大学ともリベラル派を代表する大学だが、その対応が大きく分かれたのはなぜか。まず、コロンビア大学の状況を分析する。

「反ユダヤ主義」を理由に強硬化する教育省

コロンビア大学はトランプ政権の最初の標的となった。2024年4月、学生団体「パレスチナの正義のための学生」が中心になって、キャンパスに野営地を築き、抗議行動を行い、最終的に逮捕者も出た。そんな状況下、ユダヤ系学生に対するハラスメントが頻発、同時にユダヤ系市民への嫌がらせがアメリカ全土に広がった。トランプ政権による「反ユダヤ主義」排除の政策は、そうした事態を反映している。

コロンビア大学が「反ユダヤ主義」に無関心だったわけではない。2023年10月にイスラエル・ハマス戦争が始まると、翌11月に「反ユダヤ主義に関するタスクフォース」を設置、2024年8月に報告書を提出している。その中で「イスラエルへの学生の抗議によって大学の行動規範が崩れた」と指摘している。さらに「何百人ものユダヤ系学生が大学のコミュニティは自分たちを礼節、尊敬、公平さをもって扱わなかったと証言している」とも書いている。そして「学生にユダヤ系学生を排除しないように求めた」。

2025年2月14日、教育省は各大学に書簡を送り、キャンパスにおけるユダヤ系学生に対するハラスメントの問題を喚起し、「教育省は全国の教育機関で広がっている人種差別に対してもはや寛容ではない」と厳しい姿勢を示している。さらに、各大学の対応を評価し、「公民権法を順守していない教育機関は連邦政府の助成金を失うことになるだろう」と警告した。マクマホン教育長官は「大学、特に連邦政府から助成金を得ている大学はすべての学生を守る義務がある」と語っている。

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