トヨタさえも「崖っぷち」、新型コロナの衝撃度 欧米市場の混乱がついに国内生産にまで波及

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その後、アメリカでの感染者数はさらに拡大。3月26日時点では8万5000人にまで拡大し、中国やイタリアを上回って世界で最多になった。FCAは同日、カナダとアメリカでの生産停止を4月14日まで延長すると発表。トヨタも同日、北米地域の生産停止を4月17日まで延長することを明らかにするなど、事態はますます深刻化しつつある。

自動車メーカーの生産が停止すれば、伴って進出している部品メーカーも同じように厳しい状況に置かれる。あるホンダ系部品メーカーでは北米やヨーロッパ、インドなど、日本と中国以外の大半の工場が止まった。同社幹部は「いきなり需要が蒸発した。海外売り上げがほとんど立たない中で、とくに生産規模が大きいアメリカは人件費など固定費の負担が非常に苦しい」と悲鳴を上げる。

ドル箱市場のアメリカで販売激減

日本の自動車産業にとって、アメリカ市場の混乱はとりわけ痛い。何しろ日本の自動車メーカー6社(三菱自動車を含む)は昨年、アメリカで計643万台もの新車を販売。ホンダと日産は世界販売台数に占める北米比率がいずれも3割を超える。SUBARUに至っては7割超だ。トヨタは比率としては3割を切るが、アメリカ市場でGM、フォードに次ぐシェアを誇り、現地販売台数は年間238万台に上る。

しかもアメリカでは、新車需要の7割以上を値の張るSUV(スポーツ用多目的車)やピックアップトラックが占め、1台当たりの平均単価が他地域よりも高い。台数、金額の両面において、アメリカは文字どおりの“ドル箱”市場なのだ。

しかし、外出の自粛要請などで新車販売店への客足は多くの地域でほぼ途絶えており、3月以降の販売激減は避けられない。韓国・現代自動車のグローバルCOO、ホセ・ムニョス氏は米紙のインタビューで、「3月の全米の新車販売は前年同月比で15〜20%減り、4月には同50%にまで落ちるだろう。新型コロナの影響が7〜8月まで続くことを最悪のシナリオとして想定している」と強い危機感を示した。

ブルームバーグ・インテリジェンスの吉田達生シニアアナリストは、新型コロナによる社会・経済の混乱で、アメリカの新車販売の冷え込みは長引く可能性があると指摘する。「トランプ政権が早期に混乱を収束できなければ、休業や失職によって、車のローンやリースを組めない人がこれから大量に出てくる」。

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