大阪・関西万博に台湾が「一民間企業」として参加せざるをえない理由、中国大陸との関係に左右されてきた歴史

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台湾は大阪・関西万博に「TECH WORLD館」の名称、そして民間企業として参加している(写真・TECH WORLD館のフェイスブック〈Expo2025techworld〉より)

2025年4月13日に開幕した大阪・関西万国博覧会に台湾も参加しているが、その参加名称をご存じだろうか。台湾のパビリオンは「TECH WORLD(テックワールド)館」という名称を使っている。なぜ「台湾」ではないのか。

台湾の万博の参加名称の変遷、それぞれの時期の台湾をめぐる政治状況を振り返ることで、国際社会の中で台湾が置かれた境遇の変遷が浮かび上がってくる。

台湾でも万博見物を組み込んだ日本ツアーの広告が前から多く見かけられた。内容を見ると、万博と近畿地方の景勝地観光を組み合わせた内容が多い。4泊5日か5泊6日で4万台湾ドル(約20万円)前後が相場のようだ。

日本で登記された民間会社による出展

万博見物に訪れる台湾からの旅行者にとって、台湾が出しているパビリオンの見物は目玉の1つだ。ところがこの台湾パビリオンに対して日本政府からクレームが出された。外務省は3月14日、台湾側に対して「台湾館」が民間会社による出展である旨を明示するよう申し入れたのだ。これが台湾でも報道され、関心を集めた。

というのは、台湾の経済部(経済産業省に相当)が3月6日に発表したリリースで、「台湾は『TECH WORLD館』の名義で出展する」など、あたかも台湾が政府として参加するかのような記述があったことを外務省が問題視したためだという。

台湾はBIE(博覧会国際事務局)に加盟していない。このため、大阪・関西万博には民間会社「玉山デジタルテック(玉山数位科技株式会社)」の名義で参加している。

「玉山」とは、台湾の最高峰、標高3952メートルの山の名前だ。この山の名前を使った「玉山デジタルテック」は、台湾当局の外郭団体TAITRA(中華民国対外貿易発展協会、日本のJETROに相当)が日本に設けている出先の台湾貿易センターが100%出資して開設した会社だ。同社は日本で登記された日本企業なので、民間名義で大阪・関西万博に参加できるというからくりだ。

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