植物由来のプラスチック、東レが高機能型の新製品を発売へ
さまざまな工業製品に使われるプラスチック(合成樹脂)をはじめとする化学品。現在、化学品は石油や天然ガスなどいわゆる「化石系」の原料が使われているのが大半だ。
しかし、いつまでも化石系の原料に頼り続けられる保証はない。そこで世界の化学品メーカーが知恵を絞っているのが、植物系の原料を使うという考え方だ。生育過程で二酸化炭素(CO2)を吸収し、持続的に収穫できる植物を原料に用いれば、将来的な資源不足や地球温暖化問題などの解決策となる。
そうした流れを受けて、繊維系の大手化学メーカー、東レが植物由来の新しい樹脂製品を開発した。8月28日に発表した「エコディア・高植物度グレード」(=写真=)がそれだ。9月から販売を開始する。
エコディアは植物由来のでんぷんを原料とするポリ乳酸樹脂を配合した樹脂製品。「高植物度グレード」は、これまで30%程度が上限だったポリ乳酸樹脂の配合率を50~70%程度まで高めた。家電製品やOA機器、包装材などへの使用を想定している。
従来のエコディアは、石油系などの他の樹脂に比べて成形がしにくく、長期間の耐久性や耐熱性、強度などに劣っていた。対して「高植物度グレード」は、成形のしやすさや耐久・耐熱性、強度などを一般的な樹脂と比べても遜色ないレベルに引き上げた。東レは電機メーカーなどに対して、この新しいエコディアの特徴を訴え、拡販を目指す。
ポリ乳酸樹脂の比率を高めた環境配慮型の樹脂製品は他社も取り組んでいるが、成形する際に金型を高温に熱し、金型から外す際はゆっくりと冷却しなければならなかったため、一つ一つの成形が終わるまで時間がかかっていた。
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