植物由来のプラスチック、東レが高機能型の新製品を発売へ

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

 

一方、「エコディア」の新仕様は、汎用品として広く普及しているABS樹脂(合成樹脂の一種)と、ポリ乳酸樹脂を混ぜ合わせて作る。従来品は水と油のようにある程度分離してしまうのを避けられなかったが、今回東レは、この2つの樹脂が互いによく混ざり合うようにする「相溶化剤」を使用し、新材料にABS樹脂と同等の性質を持たせることに成功した。ABS樹脂と同じように、金型温度を低く抑え、成形時間を短縮させることにつながった。

東レはこの「エコディア」の新製品を9月に販売開始する方針。ターゲットは米国市場向けのOA機器で、とりわけ給紙トレーなどの内装部分だ。来年1月からアメリカ版グリーン購入法である「EPEAT」と呼ばれる環境基準が複合機などのOA機器にも適用されることを受け、この分野での拡販を狙う。今年度は100トン、2015年度には年間1000トンの出荷を目指す。

中期経営計画において「グリーンイノベーション事業拡大」を謳い、環境配慮型製品の拡大を進める東レ。ただ、主力のABS樹脂などと比べバイオ樹脂は高価格。ポリ乳酸樹脂の価格は下落傾向とはいえども、バイオ素材の普及促進策が弱い日本国内での拡販のハードルは高そうだ。そうした背景もあり、まず環境関連の法整備が進む米国で攻勢をかける。

(中川 雅博 =東洋経済オンライン)

中川 雅博 東洋経済 記者

著者をフォローすると、最新記事をメールでお知らせします。右上のボタンからフォローください。

なかがわ まさひろ / Masahiro Nakagawa

神奈川県生まれ。東京外国語大学外国語学部英語専攻卒。在学中にアメリカ・カリフォルニア大学サンディエゴ校に留学。2012年、東洋経済新報社入社。担当領域はIT・ネット、広告、スタートアップ。グーグルやアマゾン、マイクロソフトなど海外企業も取材。これまでの担当業界は航空、自動車、ロボット、工作機械など。長めの休暇が取れるたびに、友人が住む海外の国を旅するのが趣味。宇多田ヒカルの音楽をこよなく愛する。

この著者の記事一覧はこちら
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

関連記事
トピックボードAD
ビジネスの人気記事