植物由来のプラスチック、東レが高機能型の新製品を発売へ
一方、「エコディア」の新仕様は、汎用品として広く普及しているABS樹脂(合成樹脂の一種)と、ポリ乳酸樹脂を混ぜ合わせて作る。従来品は水と油のようにある程度分離してしまうのを避けられなかったが、今回東レは、この2つの樹脂が互いによく混ざり合うようにする「相溶化剤」を使用し、新材料にABS樹脂と同等の性質を持たせることに成功した。ABS樹脂と同じように、金型温度を低く抑え、成形時間を短縮させることにつながった。
東レはこの「エコディア」の新製品を9月に販売開始する方針。ターゲットは米国市場向けのOA機器で、とりわけ給紙トレーなどの内装部分だ。来年1月からアメリカ版グリーン購入法である「EPEAT」と呼ばれる環境基準が複合機などのOA機器にも適用されることを受け、この分野での拡販を狙う。今年度は100トン、2015年度には年間1000トンの出荷を目指す。
中期経営計画において「グリーンイノベーション事業拡大」を謳い、環境配慮型製品の拡大を進める東レ。ただ、主力のABS樹脂などと比べバイオ樹脂は高価格。ポリ乳酸樹脂の価格は下落傾向とはいえども、バイオ素材の普及促進策が弱い日本国内での拡販のハードルは高そうだ。そうした背景もあり、まず環境関連の法整備が進む米国で攻勢をかける。
(中川 雅博 =東洋経済オンライン)
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