初代ロッキー宣伝マン、「クリード」を語る 若い監督の起用で浮かび上がった新たな魅力

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ユナイトには当時、虎ノ門の森ビルに試写室があって。映画評論家の淀川長治さんや小森和子さんらが活躍していた時代でした。朝の回の試写に小森さんがいらっしゃった時は、必ずコーヒーを出すよう頼まれていたことを思い出しますね。

ビル・コンティのテーマ曲にワクワクした

ストーリーもロッキーファンを喜ばせる内容に(C)2015 METRO-GOLDWYN-MAYER PICTURES INC. AND WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC.

――当時、『ロッキー』はどのように宣伝しようと思われたのでしょうか。

1976年にフィルムが税関に届いて事前に見る機会がありました。本国ではボクシング映画として宣伝されてましたが、日本でもボクシング映画として宣伝したとしても、ボクシングファン以外の人は来ないのではないか。中身を見て、むしろラブストーリーとして売った方が幅広い世代に見てもらえるんじゃないかという結論になりました。

――『ロッキー』と言えば、クライマックスの「エイドリアン!」という絶叫が名ぜりふとして挙げられることが多いだけに、ラブストーリーとして宣伝するのは必然だったということですね。

ラストに「エイドリアン、アイ・ラブ・ユー!」と言いながら抱き合うという印象が強かったですからね。それともうひとつ大きかったのがビル・コンティの音楽ですね。あの音楽のインパクトは大きかった。今、聴いてもワクワクしてしまいます。

――当時の宣伝で記憶に残っていることはありますか。

宣伝としては、若い人に来てもらいたかったので。男子校の高校生など学校単位で「男子校試写会」というものをやりました。東京・東銀座にある東劇に高校生を招待したんですが、そのとき高校生たちの前で「皆さん、この映画をご覧になったらパワーが出ますからね」なんて言いながら、映画の解説をしたことを思い出します。口コミを広げるために、試写会はかなりやりましたね。

――予告編はどうでした?

僕も『ロッキー』の予告編に携わったんですが、声優の広川太一郎さんにナレーションをお願いしたんですよ。なぜ広川さんにお願いしたかというと、『タクシードライバー』という映画があって。あれの広川さんのナレーションがすごくカッコよかったんです。だから広川さんだったら、いろんな声をやってくれるんじゃないかと思ってオファーしたんですが、これがピッタリでしたね。

――そうやって公開を迎えたわけですね。

アカデミー賞作品賞を獲得した直後のゴールデンウィークから公開。ちょうどいいタイミングでした。ふたを開けたら、オスカー効果は大きかったですね。幅広い年齢層が劇場に来てくださった。劇場の周りにも結構行列ができた。恋愛映画に切り替えて宣伝してよかったなと思いました。

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