語弊がないように言い添えておきますが、私は現在の仕事やプライベートで親しくしている男性たちとは基本的に信頼関係があると思っています。問題が起きるのは、例えば女友だちの恋人です。すべての会合にダンナや恋人を連れてくる女性がときどきいますよね。その男性がフレンドリーな人ならいいのだけど、基本的に私たちをバカにした態度だったり、ずっと黙っていたりされると困ります。
知らないオジサンが相手だったら、低い声で「ハァ!?」と言ったり、「もうその話は聞いてないんで」と遮ることができます。でも、女友だちの恋人にそうするわけにはいかないでしょう。
自分が好きな女たちのパートナーをディスらずに済むのがちょうどいい関係性です。DVなど場合を除いて、男のチョイスも含めて女友だちを信頼することが大事だと思います。
もちろん、女でも変なマウントをかけてくるような人は絶対嫌ですよ。威張ったり、モテ自慢をしたり。ダサーッ、と思いますね。
「寛容」と「尊厳」をどう鍛えるか
――「オレたちのチェンマイ」というか「女だけのチェンマイ」が実現できたらいいですね。オフキャンパスでいいので近くに住みたいです(笑)。
「オレたちのチェンマイ」はひとつの思考実験です。30代半ばまでは「結婚する人生」と「結婚しない人生」の2つしか選択肢がありませんでした。いまは違います。選択肢はいろいろ持っておくことが大事なのです。もし結婚するとしても、女の私が稼ぎ手になる形もあるし、事実婚や週末婚、別居婚だってあります。
――僕はいま愛知県内の小さな町に住んでいます。同世代の文化系男女が集まるコーヒーショップを見つけて、その中でも一部の人と仲良くなり、家飲みを楽しんだりしています。
でも、同じマンションの住民とは特に親しくないし、地域活動にも関わっていません。生まれ育った町でもないし、平日の半分ぐらいは仕事で東京にいるので、苦手な人や面倒くさい人と関わることがありません。妻と2人で「ミニチェンマイ」にいるような状態です。楽しいけれど大人としてこれでいいのかな、と心配になることがあります。
寛容と尊重は社会生活を送るうえで大きなテーマです。使う筋肉を常に鍛えておく必要がありますよね。気の合う人とばかり付き合っていると筋肉のバランスがおかしくなります。違う考え方をする人への許容度が低くなってしまうのです。マンションの理事会に出席したらびっくりするほど話が通じない、と嘆いていた女友だちもいます。
寛容と尊重の筋肉を鍛えるためには、結婚は有効な制度だと思います。基本的にそりが合わない他人と一緒に生活していくわけですからね。結婚するまでは自分の欲に固執していた人たちが、「子どもが熱を出したから遊びに行けない」「ダンナが帰って来るから今日は早く帰る」と言うようになる。結婚すると「欲の手離れ」がよくなり、柔軟性が高まるのだと思います。もちろん人によりけりで、一概には言えませんけどね。
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