今年の自動車業界を振り返ると、タカタのエアバッグ問題やフォルクスワーゲンの排ガス不正といったネガティブな話題が思い起こされてしまうが、もちろん明るいトピックスもあった。ホンダはスポーツタイプの軽自動車「S660」で注目され、マツダは「ロードスター」でカー・オブ・ザ・イヤーの連覇を果たした。そしてトヨタは年末に最新型「プリウス」を発売、今後の販売動向も気になるところだ。
自動運転の領域でも今年は話題の多い年だった。
リビングでくつろぐようにドライブを楽しむ
特に印象深いのは日産自動車の動向だ。矢沢永吉がステアリングから手を離して微笑むCMは「やっちゃえNISSAN」というセンセーショナルなコピーで大いに注目を集めた。その数カ月後に開催された東京モーターショー(TMS)でも、日産ほど、自動運転のコンセプトを力強く語ったメーカーはなかったと思う。
ステージでスポットライトを浴びていた自動運転車「IDSコンセプト」は運転手の意思でステアリングやペダルを収納できるというもの。人間は監視義務からも解放され、リビングでくつろぐようにドライブを楽しむことができる。人間が一切運転に関与しない「レベル4」の完全自動運転のコンセプトなのだ。
レベル1:自動ブレーキやクルーズコントロールのように部分的にコンピュータが介在する状態
レベル2:操舵(ハンドル機能)が複合的に加わった状態
レベル3:半自動運転。条件次第ではドライバーは監視義務から開放可
レベル4:完全自動運転
さらに、米国の自動技術学会(SAE)では無人車の可能性を指摘し、この状態の完全自動運転をレベル5と定義している。
これらの情報から、SF映画で見たような夢の車の誕生に期待を抱いた人もいるかもしれない。しかし、完全自動運転を実現するために、乗り越えなければならないハードルは山のように残されている。自動車業界は技術的な課題もさることながら、法律の問題や社会受容性といった課題にも挑戦していかなければならないのだ。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら