信号や道路標識なども画像解析しているので、赤信号なら停車し、制限速度が時速50kmから時速40kmに変われば速度を落とすといったことも自動で行える。これら次の挙動に影響する情報はヘッドアップディスプレイに表示されるが、これはコンピュータが何を見て、何を考えているのかという認知判断の情報がわからないと、ドライバーが不安になるからだ。完全自動運転までは「システムと人」の境目のHMI(ヒューマンマシン・インターフェイス)が極めて重要になる。
このようにシステムで自動化できる領域は拡大しているが、飯島部長いわく「(技術的には)まだ3、4歳児レベル」。システムが自律的にできないこと、安全の観点から機械任せにできないことも多い。たとえば、今回のデモ走行中に右車線に移動する場面があったが、右車線が混雑していたため、自動走行システムは割り込むタイミングをつかめずにいた。
システムが苦手なところは人間が介入する
「ウインカーを出す」「車線を変更する」という基本的なアクションは自動化できても、周囲の車との絶妙な間合いのようなものはシステムで対応できない。前方に大型車がいて視界が悪い場面での右折も、自動化はまだ難しいという。また、二輪車は日産含め、どのメーカーも高精度の検知を実現できていないため、自動走行中も人間が目視するなどして十分注意を払う必要がある。
右車線にうまく入れないなど、システムが苦手とする場面では、人間が代わって操作することになる。実験車両のステアリングにはセンサーが装備され、手を触れれば人間に運転の主導権が戻るようになっていた。アクセルやブレーキを踏み込んだ場合も一時的にシステムがオフになり、人間の操作が優先される。このように人間が介入することを「オーバーライド」という。
「オーバーライドから自動運転に戻すときはステアリングから手を離すだけ。オーバーライドのオンオフに手間がかかり、介入するのが面倒になってしまうようでは安全上よろしくありません。日産では人間が積極的にオーバーライドしたくなるような、つまり人間が積極的に自動運転システムに参画したくなるインターフェースを目指しています」
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