このように人間と機械がいかに“仲良く”やっていけるかは自動運転の実用化に向けて非常に重要な観点だ。人間とシステムの境界線を創造する「HMI(ヒューマン・マシン・インターフェース)」は自動運転技術のなかでもとりわけホットな競争領域であり、そこに日産の強みがあると感じた。
たとえば、自動走行中にセンターコンソールに配置されたパイロットドライブコマンダーというボタンを右や左に倒すと、タイミングを見計らってシステムが自動で車線変更を行ってくれる。つまり、左車線走行中だが右車線が空いているから車線変更をしたいという、人間の意思をシステム側に伝えるためのボタンなのだ。
人間と車との新次元でのコミュニケーション
機械の意思を人間に伝える際にはヘッドアップディスプレイなどを通して情報を発信し、人間の意志を機械に伝える際にはこうしたボタンやオーバーライド機能を使うと考えるとわかりやすい。さらに飯島部長は「法令を遵守できても、自分勝手な自動運転ではダメ。周囲の車に対しても、運転手に対しても、システム自身が何を見てどう判断し、どう動くのかをきちんと伝えられることが必要」と語った。
このように、日産が描く自動運転の世界には必ずシステムとコミュニケーションをとる“人間”が存在する。ステアリングを収納できるIDSコンセプトは人間を運転から切り離すのではなく、人間がシステムとのかかわり方を選び、人間がリラックスしたいときはシステムにアシストしてもらうというもの。いうなれば、人間と車との新次元でのコミュニケーションなのだ。これこそが「やっちゃえNISSAN」の本当の考えだろう。
数カ月前からフランス政府が新法を盾に日産ルノー連合の経営への関与を深めようとしているとの報道が出ていたが、このほど、日産は「経営の自主性を担保し、アライアンスの将来を守る結論に達した」とのコメントを正式発表した。自動運転技術は長年かけて日産が積み上げてきた宝だ。カルロス・ゴーンCEOもこの技術にかけており、絶対に他社に負けるなと檄を飛ばしているという。2016年以降もこの勢いが続くことに期待したい。
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