内閣府「2012年版子ども・若者白書」の「若者の考え方についての調査」では、働くことに関して多くの若者が不安を抱いているにもかかわらず、40歳くらいになった将来の自分の姿について「幸せになっている」と思う比率が72.5%にも上ることがわかった。調査は、全国15~29歳の男女3000人を対象に11年12月~12年1月に実施された。
就業に関して「とても不安」と「どちらかといえば不安」を合計した比率が80%を超えたのは4項目。「十分な収入が得られるか」(82.9%)、「きちんと仕事ができるか」(80.7%)という自身の不安とともに、「老後の年金がどうなるか」(81.5%)、「社会の景気動向はどうか」(80.4%)など制度や経済情勢といった社会的要因も若者の心理に影を落としている。
仕事を選ぶ理由として「自分の好きなことができる」を大切と答えた人は92.7%に上るが、現在の職業に就いた理由に「好きなことができる」を挙げたのは32.5%。また、「何のために仕事をするのか」について、「収入を得るため」が63.4%に上る一方、「自分の夢や希望をかなえるため」はわずか15.0%。仕事と家庭のバランスについても「家庭優先」が52.9%と「仕事優先」の17.1%を大きく引き離し、仕事に対する割り切りが垣間見える。若者のこうした現実感覚が、目の前の不安を克服させ、将来の幸福を確信させているのかもしれない。
(データ事業局「気になる数字」調査班 =週刊東洋経済2012年7月21日号)
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