そんな自分中心ですべてを仕切るマネジメントが通用するのは現場の管理職まで。なぜならDさんの部下は5名程度。それゆえすべてを把握して仕切ることが物理的にできたのです。仮に、このタイミングでDさんのマネジメントを否定すれば
「自分で仕切ってきたのが悪いの?」
と言い返してくることでしょう。ただ、自分で仕切れるがゆえ、
・部下に仕事を任せることが苦手
・何から何まで自分が把握しないと気が済まない
そんな俺様的な仕事ぶりの成功体験はワンランク上の立場では邪魔になるだけです。単なる管理職でなく「ボス」になると組織のメンバー数は大幅に増えます。Dさんの職場で執行役員が管轄する部門では部下の数は平均で50人以上。なかには100人を超える組織もあります。
こうなると自分中心ですべてを仕切るマネジメントは無理。さらに経営に近い立場なので現場の仕事だけでなく全社の役割を担うようになります。要は個別の仕事に細かく入れなくなるのです。
ここで仕事のやり方を変える必要が出てきます。ところができないのですよね。それまでの長い経験で行ってきたことを変える、あるいは捨てることは……。
ちなみに私が以前に勤務していたリクルートでも仕組みづくりが下手なために苦労していたボスはたくさんいました。ある営業部長は社内でも有名なトップセールスマンでした。ところが営業部長としての評価はイマイチ。なぜなら、「トップセールスマンだから売れる」ような体制で事業を立ち上げてしまったからです。売りづらい、説明が難しい商品・サービスのままに「大丈夫!俺が売るから」的な感覚で事業をスタートしてしまったりするのです。
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