茂木健一郎、「今の人工知能には弱点がある」

人間の味方にするには何をすべきか

脳科学者の茂木健一郎氏(撮影:吉野純治)
『記憶の森を育てる』を書いた脳科学者で、意識とは何かを考え続けてきた茂木健一郎氏によると、今の第3次ブームの人工知能にはまだ、人工意識は宿らないという。その理由について聞いた。

──タイトルの「記憶の森を育てる」とは?

コンピュータの記憶(メモリ)と人間の脳の記憶とはずいぶん違う。脳の記憶を表す言葉として「記憶の森」は合っているが、コンピュータの記憶にはそぐわない。記憶の森を育てることは人間にしかできない。

膨大なデータを記憶するのはコンピュータがやってくれる。だが、「森」は有機的にさまざまなことを育む。たとえば枯れ葉が腐葉土になって、その土地が次の世代の木を育てる。そういう循環はコンピュータにはできない。

人工知能にはパーソナリティがない

──意識を「記憶の連続性を自分という軸で抽象化したもの」とすれば、記憶の森は具体的には人格やパーソナリティになるのですか。

それらが積み重なって記憶の森が育ち、社風や風土になる。人工知能にはパーソナリティがない。社風に相当するような独特のスタイルや価値観は人工知能ではできない。そこも人間の領域として残っている。

──この本では、「場所と記憶」の関連を重視していますね。

この本は不思議な成り立ちをしているといえるかもしれない。人工知能のことを議論している部分と、各土地の旅行記と。旅行記にも記憶の大事な問題が含まれている。

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