薬の大量処方で医者が儲かるという「大ウソ」 薬が減らないのには2つの原因があった
医者は金儲けのために薬を出しているのではない
日本人は、諸外国と比べて、医者に行った時の薬の処方が多い。それに疑問を感じているのか、「薬漬け」ということばもよく使われる。
その理由について、医者が利益を得るために薬を必要以上に大量に出しているからだと考える人が少なくない。だから一般の人と比べて医者の収入が多いと思われているフシもある。
どうも日本には医者の「性悪説」のようなものがあるようだ。
たとえば、かつて老人医療費が無料になった時代があるが、当時、病院の待合室が高齢者であふれ返っていた。高齢者のサロンとさえ揶揄された。
その際に待合室で元気そうな高齢者が、次に行く旅行の相談をしているとか、いつも来ているおじいさんが今日は顔を見せないので聞いてみると「風邪をひいてるから」というようなオチになっている。要するに、病気でも何でもない高齢者を医者が集めて金儲けをしていて、本当に病気のときは来ないという話である。
しかし、ここでよく考えてほしい。高齢者の通院患者というのは、風邪をひいたなどの急性の病気で医者にくるほうが珍しく、多くの場合は、高血圧や糖尿病、骨粗しょう症など慢性の病気で医者に来ているのである。体調がいいのであれば、待合室で旅行の相談をするのは何の不思議もないし、むしろ待合室でよぼよぼしているとすれば、薬の出し過ぎか、医者がちゃんと体調を管理できていないことになる。私の外来に通う認知症の患者さんだって、風邪をひいている時は、代わりに家族が来ることなどざらにある。
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