生きづらさは性格ではない「かくれトラウマ」とは――親の顔色をうかがう子が、大人になっても解けない"防衛反応"の正体

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そうして置き去りになった記憶は、今もまだ体の奥で眠ったままなのです。自分でもよくわからない不調や感情の波に飲み込まれるとき、もしかするとそこには、かつて安全を感じられなかった、あの頃の小さな心と体の記憶があるのかもしれません。

それは今のあなたに、「まだ癒されていない部分があるよ」とそっと伝えてくれている、とても正直で、大切なサインなのです。

「生きる」ための神経反応とは?

本来、家庭というのは、子どもにとって安心できる場所であり、心と体をそっと休めるための“基地”のような存在であるはずです。

しかし、先述した「機能不全家庭」など、いつも怒号が飛び交っていたり、何をしても否定されたり、張り詰めた空気の中で息をひそめるしかなかったりするような家庭では、子どもは心をゆるめることができません。

そんな環境に長くさらされると、子どもの自律神経(体温や心拍といった生命活動を自動調節する神経で、緊張とリラックスの切り替えを行う)はまるで非常事態が続いているかのように、常に「戦闘モード」のままになってしまいます。脳も、体も、「いつ、何が起きてもすぐに逃げられるように」。

そんなふうに、無意識のうちに身構えてしまう。この過剰な緊張が、長い時間をかけて積み重なると、やがて自律神経のバランスは崩れ、心や体に、さまざまな不調として表れるようになります。

【生きるバランスを取るための神経反応】

心理学の世界には、ポリヴェーガル理論というものがあります。これは、神経科学者スティーブン・ポージェスが提唱した、自律神経系に対する新しい見かたです。

私たちの自律神経の働きは、単純に「緊張する」「リラックスする」だけではありません。ポリヴェーガル理論では、これを3つのモード(神経の働き)に分けて、より詳細に説明しています。

[ポリヴェーガル理論における自律神経の3つの働き]

1 腹側迷走神経(社会的交流の神経)

安心しているときに働く神経です。おだやかな表情や、やさしい声のトーン、自然なアイコンタクト──。誰かと心地よくつながる力を支えてくれているのが、この神経です。

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