そして、このように腎臓の寿命が尽きた後も普通に生きられる道が整備されてきたからこそ、高齢者は「動く機能」や「食べる機能」を普段からしっかりキープしておくようにすべきだと私は思うのです。
できるうちから「地力」をつけておく
70代、80代、90代と歳を重ねるにつれ、高齢者の健康の目標は「動く機能」や「食べる機能」をどれだけ長くキープできるかという点に絞られてくることになります。
しかし、その目標を目指す高齢者の前にはいろいろなリスクが立ち塞がっています。たとえば、転んで骨折でもしてしまったら、そのままベッドから離れられなくなる可能性もありますし、食べる量を減らしてしまったら、筋肉量が減ってサルコペニアやフレイルを進ませてしまう可能性もあります。それに、噛んだり飲み込んだりする機能が衰えてしまったら、誤嚥性肺炎(ごえんせいはいえん)のリスクが高まって食べ物を口から食べられなくなる可能性も高くなります。
つまり、こういった事態に陥ってしまったら、元も子もありませんよということ。どんなに腎臓寿命を延ばせたとしても、たとえ腎臓寿命が尽きた後に透析によって先の人生へコマを進められたとしても、「動く機能」や「食べる機能」をガクンと落としてしまったら、すべて水の泡になってしまうわけです。
そして、だからこそあまり歳をとらないうちに「動く機能」や「食べる機能」の「地力」をしっかりつけておく必要があるのです。できれば、80代になる前、60代や70代のうちに腎臓リハビリの運動療法や食事療法をがんばっておいて、「いつも通りに動いたり、いつも通りに食べたりするための力」を底上げしておきたいところです。その「地力の貯金」がどれくらい残っているかが、80代、90代を健やかに生きていく「いちばんの決め手」になるのではないでしょうか。
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