身なりを重視しない人に「欠けている視点」 勝負は「印象の手前」から始まっている

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ビジネスの現場で大事なことは、「印象」そのものではなく、「印象の手前」なのではないかと思うのです。「相手はどんな人で、どんなことを気にしている人か」ということを踏まえ、「どんな風に見られたいか」「何をいちばん伝える場にしたいか」を「印象」が作られる前に考えること。

それが「印象の手前」であり、最も大事な心構えではないでしょうか。そうやって相手を主に置いて、場を設計するチカラを育てることこそが最も大事なのだと、昔の上司は私に教えてくれたのだと私は解釈しています。

「印象の手前」から完全に失敗している

部下とやはりクレームに関するお詫びでお客様のところに出かけたとき、彼が身に着けている時計やかばん、靴などがとても高価なブランド物で、お客様からそれを指摘され、「謝意を感じない」「私たちがどれだけの汗をかいて、あなたたちに支払いをしているか考えろ」と余計に怒りを買ったことがありました。経営トップへの取材にリュックサックでうかがった若手の営業が、「あなたのような人にトップのこれまで歩んできた中の苦労を感じられるものか」と取材を断られて帰ってきたこともありました。

新卒採用の最終面接の合否について迷っているクライアントの方に相談された営業担当者が、「あまり偏差値が高くない」と否定した大学に先方担当者の息子さんが通っていることが後でわかり、発注が減らされた理由がそこだったと説明されたこともありました。

ビジネスだけでなく、合コンだってデートだって、「今日はこんな場にしたい」と思って色々準備をするでしょう?マナーや礼儀、TPOとは、相手の期待を超える手前の、場をイメージングして設計しようとすることを言うのだと思います。あなたには、それができているでしょうか?先輩女性の助言は、そういうことに根差しているのではありませんか?

たくさんの失敗や叱責や、かいた恥や、そういった経験のもとに、あなたがしなくてもよい「損」をしたり、機会を逃していると感じたら、私があなたの先輩でもきっと同じようにお説教したことでしょう。

ビジネス社会は、同じ価値観やもともと見知った人たちとの関係性だけで成り立っているものではありません。「よく見てもらう」前に、「不快にさせない」「常識がない、信頼できない人だと思わせない」といったことを、場に出ていく前に一呼吸おいて考えてみる。そういう習慣をあなたに持ってもらいたいと思っているのかもしれませんよ。

素直に聞けないなんてもったいない!おばさまの知恵は深いのです。注意の後ろにある真意をくみ取る努力を怠っていては、素敵なビジネスウーマンにはなれませんよ。「自分としては」と言う前に、耳に痛いことを言ってくれる先輩の言葉に、耳を傾けてみることこそ大事な第一歩です。

 

堂薗 稚子 ACT3代表取締役

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どうぞの わかこ / Wakako Dozono

1969年生まれ。1992年上智大学文学部卒業後、リクルート入社。営業として多くの企業を担当し、数々の営業表彰を受ける。管理職として、多様な雇用形態の組織の立ち上げやマネジメント、『リクルートブック』『就職ジャーナル』副編集長などを経験。2004年第1子出産。2007年当時組織で最年少、女性唯一のカンパニーオフィサーに任用され、事業責任者、「リクナビ派遣」編集長を務める。2010年に第2子出産後はダイバーシティ推進マネジャーとして、社内外女性のメンターを務めつつ、ワーキングマザーで構成された営業組織の立ち上げ、マネジメントを担当し、彼女たちの活躍を現場で強く推進した。経営とともに真の女性活躍を推進したいという思いを強くし、2013年退職。株式会社ACT3設立、代表取締役。女性活躍をテーマに、講演や執筆、企業向けにコンサルティングなどを行っている。2013年2月、リクルート在籍時に東洋経済オンライン「ワーキングマザーサバイバル」連載に登場。FBのいいね!数が6000を超えるなど、話題となった。

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