友人の40代女性も、「後輩に何度注意しても靴を履きかえないのよ」とぼやいていました。「内勤スタッフだからフロアにいるときは、楽な室内履きで仕事していて構わないの。だけど、来客があってお茶をお出しするときや会議室にご案内するときに、靴を履きかえないままで行くのよ!何回注意しても理由を説明しても、ずっとそうなのよね。やってられないわ!」と憤慨していました。
「なんて説明したの?」と聞いたら、「内勤でもお客様に接するときは、室内履きは失礼にあたるってちゃんと言ったわよ」と言います。「失礼っていうのがわからないのかもねぇ」と言い合いながら、ふたりでため息をついてしまったエピソードでした。
エンジニアブーツで顧客訪問する後輩
私も若手女性たちに服装やマナーについて注意するのは、本当に気が重かった覚えがあります。「は?うるさいんですけど?」と明らかに納得していない表情を見たり、注意した服装を繰り返ししていのを見かけたりするたびに、「こんなに嫌な思いをするなら、注意なんてしない方がいいよなぁ」と何度も思いました。
ある時は、お客様のところに営業に出かける女性メンバーとエレベーターの前で一緒になり、彼女がエンジニアブーツを履いていたので驚きました。「お客様の前ではブーツはNGよ。ブーツ以外の靴はないの?」と思わず言ったところ、「お客様の工場に行くんです。工場でいっぱい歩くとパンプスがダメになっちゃうんで」とむっとした表情で返されました。
それでも「それなら、ブーツを持参してパンプスで行ったら?工場で、お客様に履き替えていいか了承を得てブーツになりなさい。マナー違反よ」と言い募ると、「今日はブーツで会社に来たし、替えの靴もありませんので」とさらに言うので、「あなたね、他のお客様とのアポがあったらどうするつもり?何かのお詫びアポだったら?それでもブーツで行くの?」と完全にお説教モードになってしまった私でした。
何人もの女性営業に、夏にミュール、サンダルといったつま先やかかとがあいている靴を履いていたのを注意したことがありますが、大体はむっとされました。重大なクレームへの対応で訪問予定があるとわかっている朝、明るいプリントワンピースに五分丈のカジュアルジャケットを羽織っている当の本人を見たときも、思わず、「その恰好で行くの?」と聞いてしまいました。私こそ、嫌な先輩、下手したら「意地悪」と思われていたのでしょうねぇ。
私たち、いわゆる先輩女性たちにも、若手時代がありました。そして、その最初から完璧なマナーが身についていたわけもなく、失敗もたくさんしてきたと思います。あなたや私の後輩たちと同じように、いちいち注意をされたし、時にはこっぴどく叱られたりもしたものです。
私の場合は営業だったこともあって、ドライヤーを使わずに急いで出社した朝に、「もう一度シャワーを浴びに、家に帰りなさい。お客様のところになんて行かせられない。ぼさぼさ頭でみっともない!」とオフィスを追い出されたこともありますし、「シャツを買いに行って着替えないと同行しない」と言い渡されたこともあります。「なんなの?身だしなみやら見た目なんて枝葉末節じゃないのさ!」と上司に対して何度思ったことでしょう。
新人時代、当時の上司で、だらしない私の身だしなみを注意し続けてくれた女性との営業同行がありました。あまり雰囲気の良いアポではなかった記憶があるので、多分、お詫びとかお願いとかそういった類のアポだったのだと思います。
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