1缶3240円でも注文1.5カ月待ち! 爆売れ「高級ツナ缶」が、だし専門店の倒産危機を救った理由。最高級オイルで"1滴も無駄にできない"ごちそうに

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ツナ缶 はごろもフーズ いなば食品
名古屋市内のスーパーで売られていたツナ缶。店内のツナ缶コーナーは、はごろもフーズといなば食品の商品がほぼ独占していた(写真:筆者撮影)

国内需要が高まったのは戦後。メーカー各社がブランド化を図る中、58年に後藤缶詰所、後のはごろもフーズから生まれたのが「シーチキン」である。その由来は原料のビンナガマグロの白くてやわらかい肉質にちなんだもの。缶詰のネーミングとしては画期的だった。

今やツナ缶はどの家庭でも常備しているだろう。そのまま食べてもおいしいし、サラダにもパスタにも使える。マヨネーズとあえれば、おにぎりにもサンドイッチにも利用できる。特売品やPB商品であれば、1缶100円前後、3缶のパックが300円前後という価格も魅力。レトルト食品や冷凍食品が多様化して缶詰の需要が低くなってもツナ缶だけは別格なのである。

改めてツナ缶の魅力を見つめ直そうと、ネットで調べていると、なんと、1缶3240円の超高級ツナ缶を発見した。これよりも価格の高いツナ缶も見つけたが、興味を惹かれたのは3240円のツナ缶を作ったのが既存の缶詰メーカーではないという点だ。

コロナ禍の売り上げ減少が開発のきっかけに

それが焼津市の焼津さかなセンター内にあるだし専門店「勝男屋」の大トロツナ缶、その名も「頂(いただき)」である。その商品名から、いっさい妥協せずにこだわり抜いていることが伝わってくる。なぜ、だしの専門店がツナ缶を作ったのか。そして、「頂」を是非この目で確かめてみたいし、何よりも食べてみたい。ということで、焼津さかなセンターへ向かった。

勝男屋は明治年間に設立した鰹節製造業の望月商店がルーツ。焼津港で水揚げされた鰹を主原料として鰹節やだし、ふりかけなど水産加工品の製造販売を手がけるシーラックが経営母体だ。伝統的な製法で生産される鰹節は、結婚披露宴の引き出物や葬儀の返礼品として重宝され、売り上げ構成比の40%強を占めるという。

勝男屋 高級ツナ缶 頂
焼津さかなセンター内にある「勝男屋」外観(写真:筆者撮影)

勝男屋が焼津さかなセンター内にオープンしたのは2014年。鰹節製造元として鰹節にとことんこだわり、本枯節に国産の天然素材を独自の黄金比で合わせたティーバッグ式の「勝男屋のだし」は好評を博した。

ところが、コロナ禍に入ると、18年度に約23億5千万円あった売り上げが翌19年には約22億円、さらに20年には対18年度比48.3%ダウンの約12億円にまで減少した。この窮状を何とかしようと立ち上げた新事業が地元の水産物を使った「頂」をはじめとする高付加価値の缶詰商品の製造だったのだ。

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