静岡が「缶詰王国」に上りつめた明治期からの軌跡 有名企業が本社を置く知られざる缶詰の一大産地

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(筆者撮影)

静岡県は「缶詰王国」と呼ばれる。

静岡と聞くと、サッカー、お茶、わさび……そうしたイメージを思い浮かべる人は多いと思うが、実は缶詰産業が盛んな地域であることは、あまり知られていない。特に、駿河国と呼ばれた静岡市を中心とした静岡県中部はそのメッカであり、清水食品株式会社、はごろもフーズ、伊藤食品といった有名企業も静岡市に本社を置くほどだ。

「弊社は業務用なども含めると、700~800種類の製品のラインナップがあります」

そう、はごろもフーズが話すように、各社が多種多様な缶詰を製造し競い合う。静岡県中部は、百花繚乱ならぬ“百缶繚乱”の様相を呈しているのだ。

それにしても、なぜこの地域が缶詰製造の一大産地になったのか? その歴史は深い。

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清水港が重要な輸出拠点に

静岡市清水区港町――。清水港のほど近くに、“船と港の博物館”をコンセプトとした「フェルケール博物館」はある。フェルケールとは、ドイツ語で交通の意。「缶詰の背景に、清水港は欠かすことのできない存在」と語るのは、同博物館の学芸部長・椿原靖弘さんだ。

フェルケール博物館
フェルケール博物館の外観(筆者撮影)

「ご存じの通り、静岡市はお茶の一大生産地でもあります。清水港は、アメリカに向けてお茶を輸出する港として栄えていた時代がありました」(椿原さん)

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