中小企業の輸出が日本経済「最大の伸び代」である 輸出が途上国より少ない「構造的要因」排除せよ
オックスフォード大学で日本学を専攻、ゴールドマン・サックスで日本経済の「伝説のアナリスト」として名をはせたデービッド・アトキンソン氏。
退職後も日本経済の研究を続け、日本を救う数々の提言を行ってきた彼の著書『給料の上げ方――日本人みんなで豊かになる』では、日本人の給料を上げるための方法が詳しく解説されている。
「いまの日本の給料は、日本人のまじめさや能力にふさわしい水準ではありません。そんな低水準の給料でもガマンして働いている、その『ガマン』によって、いまの日本経済のシステムは成り立っています。でも、そんなのは絶対におかしい」
そう語るアトキンソン氏に、これからの日本に必要なことを解説してもらう。
現在の円安は「輸出を増やす」最大のチャンス
円安が続く中、日本企業にとって輸出を増やす絶好の機会が訪れています。
多くの人は日本を輸出大国と考えがちですが、これは誤解です。実際、日本はかつて貿易黒字の大国でしたが、その主な原因は輸入額が少なかっただけであり、日本が輸出大国であったことを意味するものではありません。
事実、世界銀行がまとめた2022年の対GDP輸出比率ランキングでは、日本は153位です。先進国の中で日本より低いのは、日本より国内市場が非常に大きいアメリカだけです。
しかし、アメリカは1人当たりGDPが日本の1.6倍もあります。その違いを考慮すると、日本は先進国の中で、対GDP輸出比率ランキングが最下位と位置づけても問題ないと思います。
日本の対GDP輸出比率は21.6%で、先進国の平均33.9%、EUの56.3%、さらには途上国の22.6%よりも低いのです。
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