中小企業の輸出が日本経済「最大の伸び代」である 輸出が途上国より少ない「構造的要因」排除せよ

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確かに、内閣府のデータによると、GDPに占める輸出は1994年度の8.8%から18.8%まで増加していますが、円安を活かせば、さらに輸出を増やすことが可能です。

「中小企業の輸出」が最大の伸び代

その伸び代が最も大きいのは、中小企業です。

内閣府のデータによると、2020年度において、大企業の輸出額は全体の輸出額の92.7%を占め、中小企業はわずか7.3%にすぎません。輸出企業数を見ると、大企業は32.6%、中小企業は67.4%です。大企業の28.3%が輸出を行っているのに対し、中小企業は21.2%で、時系列で見てもその比率はあまり向上していません。

諸外国と比べて、日本の中小企業には大きな成長の余地があります。OECDの報告(Facilitating SMEs Access to International Markets, 2004)によると、OECDの中小企業は輸出の約3割を占めていますが、日本ではわずか7.3%です。

アメリカでは大企業が輸出額の65%(A Profile of U.S. Importing and Exporting Companies, 2020-2021)、EUでは62%(SMEs Weight in EU’s International Trade in Goods)を占めるのに対し、日本では92.7%です。

輸出企業数で見ると、アメリカは中小企業が97.4%、EUは97.9%を占めていますが、日本は67.4%にとどまっています。

単純に、中小企業が先進国並みに輸出を増やせば、日本の輸出額を大幅に増やせるでしょう。2021年度の輸出額を104兆円とすると、その93%が大企業による輸出で96兆円、中小企業の輸出は8兆円です。

中小企業の輸出額を全体の3割まで増やせば、中小企業の輸出は41兆円となり、現在の5倍に増加します。これにより、輸出額は1.3倍に増え、GDP成長率も6%上昇する要因となります。

輸出総額は対GDP比で25%まで増加します。さらに先進国平均に追いつけるとすれば、1.4倍の拡大余地があります。

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