中小企業の輸出が日本経済「最大の伸び代」である 輸出が途上国より少ない「構造的要因」排除せよ
観光業による外貨獲得額は、2012年の1兆円以下から、2024年は7倍の7兆円となる見通しです。波及効果を考慮すると、7兆円の外貨の経済効果は約2倍となると考えられます。
輸出を増やしてこられなかった「2つの構造的な要因」
日本では労働者の7割が中小企業に勤務しており、この比率は先進国の中でも高いほうです。中小企業が輸出を増やさないと、円安が経済に悪影響を及ぼすだけで、それを上回るメリットは実現されません。政府は中小企業の輸出戦略を推進するべきです。
ここで、輸出増加のチャンスがありながらもこれまで実行されてこなかった理由を考える必要があります。構造的な問題が存在するかどうかを検討し、もしあるのであればそれを解決しない限り、円安を活かして輸出を増やすことは困難です。
輸出が増えない原因は2つあります。
まず、規模の問題です。中小企業庁によると、中小企業は全企業の99.7%を占めますが、平均規模は9.0人です。日本企業の84.9%は平均社員数が3.4人しかおらず、これらの企業は雇用の22.3%を占めています。こういった企業では規模が小さいため、輸出は困難です。
次に生産性の低さです。ドイツの研究によると、生産性が高い企業ほど輸出が容易であるとされています。日本の中小企業は大企業に比べて生産性が50.8%しかありません。アメリカは62.9%、EUは66.4%です。日本の中小企業は生産性が低いため、輸出が困難なのです。
結果として、規模と生産性水準から見て、このままでは円安が進んでも輸出はあまり増えない可能性が高いのです。中小企業は、連携や合併を進め、輸出が可能な規模を達成する必要があります。
これを言うと批判を受けますが、あえてお伝えしたいと思います。高齢化によって、社会保障の負担は確実に増加し続ける一方、生産年齢人口の減少によって負担する人は減ります。生産性を高めて賃金を上げなければ、結果として日本国民はその負担に追われてさらに貧困化します。
現状維持のままでは、その結果としての貧困を覚悟しなければなりません。賃金が上がらない異常な30年間から脱却するために、日本の中小企業も海外の中小企業と同様に輸出を増やして、人口減少に備えて、賃金を上げる方法を探る必要があり、またそのチャンスもあるのです。
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