中国の太陽光発電関連製品の輸出が増え続けている。業界団体の中国太陽光発電産業協会の調べによれば、太陽光発電用のシリコンウェハー、電池セル、太陽光モジュールの2023年上半期(1~6月)の輸出額は概算で290億ドル(約4兆526億円)を超え、前年同期比で約13%増加した。同協会の名誉理事長を務める王勃華氏が、7月20日に開催された業界向けのフォーラムで明らかにした。
王氏の説明によれば、上半期はシリコンウェハーと電池セルの輸出が大きく伸び、月次の輸出額はいずれも前年同月比20%超の増加を記録した。背景には、中国メーカーのグローバル事業戦略の変化がある。かつては中国で生産した(完成品である)太陽光モジュールの輸出がほとんどだったが、市場開拓の進展とともにモジュールの海外生産拠点を設けるメーカーが増えており、(部材である)電池セルやシリコンウェハーの輸出を押し上げている格好だ。
輸出の仕向け地別に見ると、最大の市場は総輸出額の約5割を占めるヨーロッパであり、上半期の増加率は前年同期比40%を超えた。一方、シリコンウェハーと電池セルの輸出は(多数のモジュール工場が建設されている)東南アジア向けの伸びが著しい。
下半期の輸出は減速の可能性も
この好調は今後も続くのだろうか。「最大市場のヨーロッパでは(太陽光発電所を建設するための)労働力や土地の不足に加えて、電力網のキャパシティの制約も生じている。販売代理店の在庫水準も上昇しており、下半期(7~12月)の輸出の伸びは鈍化する可能性がある」。前出の王氏は、そう予想する。
さらに王氏は、外国政府による自国企業の優遇政策や中国製品を標的にした輸入規制などの影響に言及し、次のように述べた。
「中国、アメリカ、ヨーロッパ、インドなどを舞台に、市場の拡大と現地政府の保護貿易のダブル効果で国際競争が激化する。太陽光発電産業の世界的な再編が加速するだろう」
太陽光発電関連製品の国別の生産シェアは、現在は中国だけで世界の約90%を占めている。しかし国際エネルギー機関(IEA)の予想によれば、中国の生産シェアは2027年には75%に低下する見通しだ。
(財新記者:趙煊)
※原文の配信は7月21日
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